"新聞ハ、トテモ愉快ダ"「小樽・新聞物語」ギャラリートーク


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 市立小樽文学館の企画展「小樽・新聞物語」に協力した、郷土史研究家・渡辺真吾さんを講師にしたギャラリートークが、10月1日(土)14:00から、同会場で行われた。
 この企画展は、9月3日(土)から11月6日(日)まで開催中。明治〜昭和初期にかけての当時の大事件ではなく、庶民の生活ぶりが分るような小さな出来事を面白く書いた「小樽新聞」と「北海タイムス」を展示・解説。それにまつわる骨董品も展示され、訪れる人の興味をひいている。展示している話や解説だけでは伝えきれないため、ギャラリートークが開かれた。
 最初にむかしの新聞について
 「江戸時代は、文字を読める人があまりいないため、かわら版を配っていた。明治維新後、新聞が発行され、大新聞(政治向け)と子新聞(国民向け)があり、スキャンダル記事を毎日載せた。戦争が終わると書くことがなくなり、小説欄、文化面を充実した。昔の新聞の特徴として、間違いが多く、名前、年号、内容と全く違う写真を載せたりしていた」
 次に清潔法と伝染病について
 「家屋を綺麗に清潔にするように検査があった。布団、畳、家財道具まで外に出し、検査された。北海道は、本州よりも厳しかったと言われた。当時の新聞記事に『厳しくおこなうけどどうか?』『女性ばかりの家だと違う』『土足のまま入る』などと、検査の3日前に掲載する。『着ているものまで脱がせて検査する』と、実際にされるのではなく、このような恐れを予測して書かれたものである。大事なところは、特大文字にして載せた。そうすると、役所は評判が非常に悪くなり困り、市長が出てきて『なにとぞ、ご勘弁下さい』となる」

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 最後に白瀬中尉の南極探検についての解説があった。明治末の良く知られている話で、白瀬中尉は、秋田県出身で小樽にも来た事があり、ゆかりの深い人物である。渡辺氏のコレクション、白瀬直筆の額や関係書物も展示されている。
 玉川副館長は、「取り上げた話題は、20から30も繰り広げられ、万華鏡のようだ。庶民の些細な事も記事になっている。時代の真事実だと教えられる。記事の内容なもちろん、時代の見方も教えられる。暗い時代のように思われがちだが、庶民はいきいきと生活している。ふたをしてしまうことはいけないと、共感したことでもある」と話した。参加者は熱心に耳を傾け、終了後には、展示物を興味深く見ていた。
 次回ギャラリートークは、10月29日(土)14:00より、治療器や選挙の話をする予定。