科学に親しむ28のブース 総合博物館の「ものづくり教室」

 「小樽おもしろ科学ものづくり教室」が、10月23日(日)小樽市総合博物館(手宮2)で開かれ、科学にふれようと多くの人々が訪れた。主催は理科大好きボランティア in 小樽(事務局・小樽工業高校ボランティア同好会)。
 昨年1月にウイングベイ小樽で行われ、今回2回目の教室で、博物館での開催は初めて。博物館エントランスホールや研修室などに28のブースを設けた。
 今回の事務局の小樽工業高校・菅原陽教諭は「工学部へ進む学生が減り、理科離れが進む中、土台を変えて、低学年のうちからサイエンスに興味を持たせる環境に変え、科学にかかわる子どもを育てたい。どんな内容にするかは、小樽工業で開発したものや科学教室で行っているもの、市民向け子供向けに、授業により応用したものを用意している。安くていかにおもしろいものを、子ども達に教え、サイエンスに向ける気持ちを醸し出していきたい」と話した。
 研修室では、小樽工業オリジナル「逆二乗団(ブラックホール)」は、太陽系をモデルにした科学説明機器で、今回初披露された。塩化ビニールの中心をくぼませた所を太陽とみたて、ビー玉で惑星を表現して重力を学ぶ。
 その他、会場には、小樽理科大好きボランティアによる「ストロー多面体」や、鏡の原理を利用した「全反射イナイナイバー」。2つのブラスチックのコップに絵を書き、ひとつには底に穴を開け、重ねて水槽に入れると、絵が消え、水が入ってくると絵が浮かび上がってくる。朝里中1年の早坂雪乃さんは「今回2回目のボランティアで、科学に興味はあるが機会がなかったので楽しい」と興味を膨らませていた。
 2階通路では、札幌国際情報高校・坂橋翔教諭の「結晶の成長を見よう」。試験管に酢酸ナトリウムと水を1:1の割合で入れ、酢酸ナトリウムの粉末を少し入れると、見る見るうちに液体から固体へ変化し、発熱反応が起こる。水がエネルギーを持っているためで、この原理を利用したものに、エコカイロがあると説明。
 エントランスホールでは、菅原教諭による「熱気球と太陽系」と題して、ビニール製の気球に温風を送り、気球を膨らませた。空気の質量150kg、直径6mの気球が、浮かび上がった。気球を太陽とし、直径6cmの地球の模型と直径1.6cmの月の模型を用意し、太陽と地球と月の大きさを比較し、回る方向を再現した。空気の性質を利用して簡単に空気を抜いてたたみ、来場者も一緒に参加した。
 「へびは不思議な動物」では、菅原教諭の飼っているアオダイショウ4匹に直接触れることができた。小樽工業建設科の鬼沢君は、へびの生態をくわしく説明。参加者は、警戒心もなく、手や腕にまとわりつくへびに関心を寄せていた。
 「竜巻を見よう・うずを見よう」では、ドライアイスを水に浮かべ、上から吸い込む装置をつけ、まわりの空気を巻き込む習性を利用し、竜巻を発生をさせた。
 小樽職人の会は「砂型鋳造キーホルダーの制作」・「ビーズストラップ」を設けた。
 「くるくるレインボーを作る」に参加した、近藤美冴さん(小4)と楓人君(中1)とお母さんは、完成した作品を満足げに見つめ、美冴さん「理科が好き、工作も好き、楽しかった」と、楓人君は「科学も実験も好き。いろいろなブースがあって楽しめた」と話し、お母さんは「博物館は、たまに利用している。なんでも作る事が好きなので参加した」と親子で有意義な時間を過ごしていた。
 小樽市総合博物館・中野仁学芸員は、「地域の子ども達が科学に接する機会を多くし、学校以外でもこのような教室を多く利用してもらいたい。今回開催できたことは有意義な事であり、今後もこういう形で開催したいと思う。イベントに参加しているお母さん達やボランティアの協力があった。小樽工業高校は、科学のイベントでも参加しているが、潮陵高校は今回初参加で、高校との連携も大切にしていきたい。博物館としても、市民・学校との連携ができ、少しずつ輪が広がってきている。あいにくの天候にも関わらず、多くの人が参加してくれている」と、感想を述べた。