市がコンプライアンス推進素案 政治資金規正法違反事件


 小樽市(中松義治市長)は、政治資金規正法違反事件に関する調査特別委員会の報告書や議会での議論をもとに、市が講ずべき再発防止方策「小樽市職員の倫理向上に向けたコンプライアンス推進方策」素案を9月30日(金)までに策定した。
 素案では、職員の意識改革を図ることなどを目指し、これまでの制度の見直しや外部のチェック機能を強化する仕組みなど10項目を設けている。
 これまでの制度などを見直すものとして挙げたのは、公益通報制度の見直し、職員研修の充実、職員の意識改革、庁達の周知方法等の見直し、政治的中立性の確保の5項目。新たに取り組むものとしたのは、「(仮称)小樽市職員倫理条例」の制定、コンプライアンス委員会の設置、法令遵守担当部署の新設、イベントチケット等の取扱ガイドラインの策定、コンプライアンスハンドブックの作成の5項目。
 公益通報制度の見直しでは、職員のみが閲覧できるイントラネット上に制度の要綱を掲載していたものを、職員の目に触れやすくするためにトップページ移動。これまでの通報窓口が総務部職員人事係で抵抗を抱きやすい環境だったため、コンプライアンス委員会を通報窓口として活用することにした。
 職員研修の充実では、新規採用職員研修受講後や採用後5年程度の中級研修、新任監督者(係長職)研修及び新任管理者(課長職)研修などで、公務員倫理やコンプライアンスについての研修を受講できるようにする。コンプライアンスや危機管理等の内部講師を養成し、法令遵守のための研修を充実させるなどとした。
 職員の意識改革では、60%の職場ミーティングの実施率の向上と内容の充実に取組み、実施状況を把握する。コスト意識や顧客(市民)満足度につながる考え方を養うために民間での短期研修を行う。
 庁達の周知方法等の見直しでは、庁達の配布をこれまでのメールから紙媒体に改める。職場内での回覧やミーティングで周知及び確認の徹底を図る。庁達内容に、公務員の禁止行為の具体例を示し、政治資金規正法にも触れる。
 政治的中立性の確保では、勤務時間中に議員や政党から、政党機関誌(紙)の購買依頼やカンパ依頼、政治集会への参加依頼などがあった場合は、これに応じないよう指導し、徹底する。
 「(仮称)小樽市職員倫理条例」の制定では、利害関係者との禁止行為のほか、公益通報や不当要求行為等の項目を盛り込み、コンプライアンス委員会の設置や市の取組を議会へ報告することなどを規定する。
 コンプライアンス委員会の設置では、指導・助言に基づき、法令遵守体制の確立のため、必要な改善措置を講じる。公益通報制度や不当要求行為などの窓口として活用する。
 法令遵守担当部署の新設では、総務部に法令順守担当の副参事を新設。職員のコンプライアンス、人材育成及び意識改革等に取り組む。
 イベントチケット等の取扱ガイドラインの策定では、イベントチケット等の取扱要領を策定し、その取扱いの仕組みづくりを進める。
 コンプライアンスハンドブックの作成では、職員に配布するとともに、ホームページ等に掲載し、法令遵守に対する市民との共通認識を持つことで、非違行為の発生を未然に防止するとした。
 10月7日(金)13:00からこの問題に関する市議会の特別委員会が開かれ、この素案に対しての質疑が行われる。
 ◎小樽市職員の倫理向上に向けたコンプライアンス推進方策(素案)