たった1人から100人に 小樽運河クリーンプロジェクト


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 たった1人で妙見川河口の小樽運河合流域で清掃活動を続けてきた小樽商科大学OBの湯谷拓朗さん(25)による「小樽運河クリーンプロジェクト」が、11月12日(日)10:00から、小樽運河周辺で行われた。
 湯谷さんは、在校中に所属したよさこいサークル「翔楽舞(しょうがくぶ)」の活動の中、演舞披露やボランティア活動を行った。「活動中お世話になった小樽に恩返しをしたい」と今年6月から清掃活動をスタート。夜明けから早朝の暗がりの中、ヘッドライトをつけて活動を続けた。関連記事
 この活動が徐々に市民に知れ渡るようになり、今回、一年の集大成として、「運河にゴミが流れてくる現状を、もっともっと知ってもらいたい」と、クリーンプロジェクトを企画。多くの人に参加を呼びかけた。
 この結果、集合場所となった小樽運河浅草橋街園には、商大生をはじめ市内の老若男女総勢約100人が集まった。湯谷さんは、自身の活動を報告するとともに、妙見川河口の運河合流域の現場を案内した。
ungaclean1.jpg 参加者100人は3つのグループに分かれ、浅草橋街園から北運河まで、周辺のゴミや落ち葉などを拾い集めた。この日は、運河の温度計が午前中で 15℃を超える温かい日となった。参加者たちは、「吸殻が特に多い」、「テレビや自転車などの不法投棄が目立つ」などと話しながらゴミ 拾いに汗を流した。
 集めたゴミは、小樽市の協力で浅草橋街園の観光案内所裏、地元のタクシー会社トンボハイヤーの敷地2ヶ所に仮り置きした。週明けにも市が回収する。
 清掃活動後には、色内のかもめ亭で、参加者による座談会。参加者の代表として、元ソニー上席常務で工学博士(東北大学)の天外伺朗氏、政寿司の中村全博社長、トンボハイヤーの山川隆常務取締役、夢会の石黒亨代表、安斎哲也市議の5人がパネラーとなり、それぞれの活動報告や小樽への思い、運河クリーンプロジェクトに参加した感想などを述べた。
 天外氏は、「湯谷くんは、私が主宰する 天外塾に来て、お世話になった小樽でいつか運河清掃をしたいと言ったので、私がなぜいつかしたいなのか、すぐやれと言ったら本当にやったばか者だ。湯谷くんの活動を知って、塾生たちが、銅付きや清掃用具を寄附したり応援する人が増えた。今回これで良かったと思わず、来年は1,000人の参加者を集めるくらいの気持ちで取り組んでもらいたい」。
 中村社長は、「私は、寿司屋として植樹する千年の森プロジェクト理事長として若手育成をしている。私は植樹して森を綺麗にし、湯谷くんが川を綺麗にする。とても嬉しいことだ」。
 山川常務は、小樽と運河の歴史を述べた上で、「湯谷くんの活動をたまた見に行き、鱗友朝市で朝ごはんを食べて外に出ると、20人ほどの仲間で楽しくゴミを拾っている夢会のみんなに会った。1人で運河の清掃をやっている人がいると話すと、次の活動に参加してくれて、今日を迎えることが出来た」
 石黒代表は、「僕たちは、夢を語り夢を叶えることを目標に活動している。ゴミ拾いは、一緒に活動するメンバーが、好きで移住してきた小樽の街に落ちているゴミを無くしたいという一言から始まった。この活動のおかげで今回のクリーンプロジェクトに参加させて頂くことが出来ありがたいと思っている」
 安斎議員は、「今回のクリーンプロジェクトをはじめ、友人が企画するゴミ拾い活動に参加させてもらっているが、ただゴミを拾っているのではなく、その活動の中で小樽市の問題点を見つけたり、地域住民の方と意見交換し、行政への要望苦情を伺っている。若い人たちが夢や希望を持って活動し、将来の子供たちに僕らが活動してくれて良かったと思えるようにしたい」とそれぞれ思いを語った。
 湯谷さんは、「100人を超える方々にご参加頂き成功だと思う。こんなにゴミがあるとは思わなかった。今後は、雪が降るまで運河合流域での活動は続けたいと思っている。今回参加頂いた夢会の方が一緒にやりましょうと言ってくれたのでとても嬉しく思っている。この活動は来年も続けながら、年1回、クリーンプロジェクトを企画したい」と意気込んでいた。