市長が並行在来線経営分離に同意 新幹線の認可・着工へ


 小樽市の中松義治市長は、12月1日〈木〉に開かれた市議会総務常任委員会で、北海道新幹線の札幌延伸に向けて並行在来線(函館-小樽)の経営分離について同意する考え方を示した。
 北海道新幹線の札幌延伸を巡っては、国土交通省が、11月25日に、函館から札幌までの未着工区間について、年内にも着工の判断をすると表明。この区間の認可・着工には、①安定的な整備財源見通しの確保、②収支採算性、③投資効果、④営業主体としてのJRの同意、⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意の5つの基本条件がある。
 市は、11月末に道から照会があったことから、12月1日の総務常任委で、「北海道新幹線は北海道民、市民の悲願であり、経済効果が期待されている。並行在来線の経営分離に同意したい」とし、早急に道に回答したい考えを示した。
 この市の対応を受け、小貫元委員(共産)は、「市民にどう説明したのかが抜けている。一度しっかり市民に周知して意見を聞くべき」と指摘。
 中松市長は、「何とか札幌まで持っていきたいと思っている。5つの基本条件の一つが、並行在来線の経営分離で、日本列島の背骨をしっかり作ることが必要。経済の問題も考え影響は大きい。国の方が、早く決定したいということがひと月、ふた月で急に高まっている。結果として道から話があり、一定の返事をしなきゃいけないので11月末の期限となった。在来線の経営分離の同意がなければ認可着工がない。認可着工には10年~15年のスパンの中で皆さんと話をしていくことが必要。市民のことを考え、札幌に新幹線が来ることにより、地域振興、観光振興の問題を含め、市民のためになると思っている。私は議会を通してからでないと返事はしないと道に言っている」と答弁した。
 鈴木喜明委員(自民)は、「北海道新幹線の札幌延伸は、我々、自民党の悲願である。我々の政権が終わり、民主党になり、芽が消え始めたが、東日本の震災があり、津波の影響があり、鉄道網の整備しないといけないというところが今の動きになった。小樽市民にとってもプラスであることは間違いないので、小樽市がどれだけ恩恵を受けるようにするか議論をしていきたい」と述べた。
 中松市長は、「市民の多くは札幌まで来ることを願っている。まず、認可着工が必要というのが市民の多くの声。在来線の問題があり、小樽市が責任を持って対処しないといけない」とした。
 秋元智憲委員(公明)は、「唐突の話で驚いているが、公明党としても、自公政権時代から札幌延伸は1日も早く実現して欲しいと活動してきた。多くの方々は早期着工を求めている。道にはいつ返事するのか。経営分離がだめだから認めないということにはならない。仁木の『不本意な面はあるが、北海道全体の経済効果を考えずに1町の思いだけで不同意とはならない』の判断が的を射ていると思う」と述べた。
 市は、「私たちも何も話がなかったのがこれほど急展開して驚いている。道には11月30日までと言われている。議会に報告してからと思っていたので、出来るだけ早い時期に回答したい」と答えた。
 林下孤芳委員(民主市民)は、「今後協議会の役割になると思うが、市長は期成会の会長という立場もあるし、後志の各町村の考え方は鉄路の存続が大きな課題。余市を含め大きな課題になるが、JR北海道に対しても協力を求めるべきで、市長に求めたいと思う。経営分離の同意については致し方ないと思っている、見解を」と質問。
 市長は、「並行在来線は大事な問題だが、国は、平成23年度の予算づけの中で長崎、北陸と合わせて進めたいということなので、ご理解を頂きたい」と答弁した。
 成田祐樹委員(一新小樽)は、「並行在来線の問題もあるが、小樽の駅の場所の議論が必要と思っているが、今回は在来線の同意についてということなのでそれについて質問させて頂く。北海道では札幌函館間になるが、経営分離する在来線の名前は出ているのか。札幌ー小樽間はドル箱だからこちらに寄こしてと言えないのか、なぜ赤字の可能性があるところを私たちに任せようとするのか。札幌小樽間もこっちに下さいという言い方が出来ると思うし、逆に塩谷と余市までを少し延ばしてと言えるのではないか」と質問。
 市は、「JRの中島社長が、並行在来線は函館駅から札幌駅までで、経営分離は函館から小樽と述べていたと認識している」。
 貞村英之副市長は、「札幌からなのですが、JRの問題もあり、稲穂に敷地があって、JRをそこに戻さないといけない。もしかしたら手稲までという話も出ていたが、小樽という古い駅があるので小樽までと決めたと推測するだけ。ご理解を頂きたい」と答弁した。