正月休みも終わった1月4日(水)9:00、小樽市役所(中松義治市長)では、議事堂に200人の幹部職員を集め、仕事始めの式が行われた。
中松市長が行った、2012年に臨む新年の訓示内容の概略は、以下の通り。
「昨年は、政治資金規制法違反があり、苦労をかけた事にお詫びを申し上げたい。再発防止のため、コンプライアンス推進防止策を作成し、小樽市職員倫理条例の作成を進めていて、公務員としての自覚と責任を今まで以上に持って、業務にあたるよう願いたい。
3月11日には、東日本大震災が発生し、多くの犠牲者と甚大なる被害が発生した。福島原子力発電所事故から、市民の防災に対する関心が高まる中、市民の安心で安全な街づくりは、市政運営にあたる基本のひとつである。小中学校の耐震化の推進、津波ハザードマップの作成、また、緊急保護措置区域範囲の拡大に向けて、関係機関と連携して市民が安心安全に豊かに暮せる街づくりのために、市民の目線に立った防災対策を進めていく。
震災により、上半期の観光客数は、前年より66万人減少し、宿泊業や飲食業を中心に大きな影響を与えた。5月には、台湾から50名の訪問団を迎え、運河等の観光地を案内し、韓国・タイ・中国へ、安心安全をアピールした。札幌市内に宿泊した人に対して、札樽間の往復バス乗車券を贈呈し、市内に宿泊した人には、買い物、飲食ができる小樽市観光振興券交付事業を行った。
韓国・台湾へ赴き、小樽の安全と安心をPRし、ダイレクトメールアクセス事業や市内イベントのPRを行った。観光客は少し持ち直しているが、回復には至っておらず、今後国際観光都市として魅力ある街づくりを目指し、取り組んでいかなければならないと考える。
22年度の国勢調査では、人口の減少は、全国で7番目、北海道では2番目に多い。11月での高齢化率31.87%と他の都市よりも進んでいる。若者の雇用の場を確保するために、地場産業と雇用拡大を計る。
明るい話題として、新市立病院の建設に着手することとなり、平成26年度の開院を目指す。後志地区医療基幹病院として、質の高い医療サービスを市民に提供できる体制の設備が期待される。夜間急病センターの移転先も決定し、市民の命となる医療体制の整備が着実に進んできている。
小樽港は外航クルーズの拠点として、日本海側拠点港として選定され、昨年は過去最高17隻が入港し、4年連続で北海道1位の寄港実績となり、今年も上海発の「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」を皮切りに、16隻の寄港を予定している。クルーズ船の寄港は、小樽の観光振興に繋がり、大いに期待している。
東洋水産(株)の銭函地区への移転、一正蒲鉾(株)の新設は、大きな規模の工場の操業が予定され、市内での経済波及効果が期待される。昨年10月には、北電が石狩湾新港に液化天然ガスの火力発電所を建設することを発表。本市においては、税収増や港湾の利用促進を計り、電力安定供給に寄与し、北海道全体の発展に繋がると期待したい。
北海道新幹線の札幌までの延伸について、国において建設財源の見通しがついたことから、着工を認めることを明らかにした。札幌延伸は、観光産業のみならず、社会経済全体への大きな影響をもたらすと考える。
市長に就任して初めての新年度予算編成となる。職員の協力をもらい、平成22年度の一般会計の赤字は解決したが、多くの借入残高があり、新年度は、税収や地方交付税の減額も見込まれることから、増して財政状況は厳しくなるものと思われる。一丸となって知恵を出し、取り組んでいきたい。
街づくりの主役は市民であり、民間企業のように無駄のない効率的、効果的なスピード感がある行政を進めていきたいと話したが、今まで以上に、市民に信頼される市役所づくりに努力されるよう願いたい。信頼される市役所づくりには、挨拶も欠かせないひとつ、相手への第一印象に大きな影響を与え、一見、常識で簡単そうに思うが、挨拶の仕方によりさまざまな受け取り方をされる。気持ちの入った挨拶を心がけてもらいたい」と述べた。