小樽市保健所(富岡1)では、奇数月の第2水曜日の午後に「子どものひきこもりを考える家族セミナー」を開いている。また、「小樽不登校・ひきこもり家族交流会」は、偶数月に開かれ、ひきこもりの子どもをもつ家族の自主的な集まりで親睦を深めている。
1月11日(水)13:30から、同所講堂に15名が集まり、臨床心理専門で石橋病院勤務の山本創氏を講師に「子どものひきこもりを考える家族セミナー」を開催した。
「不登校との出会いは、18年前北大生の時に、当時、小学3年生の子が相談に来ていて、その子と出会ったのが始まり。学生の頃、恩師の言葉に心打たれ、恩師と同じ臨床心理士になりたいと思い、この仕事についた。時代の変化に伴い、精神分裂病が統合失調症となり、不登校、登校拒否が病気と捉えられていたイメージも変わってきた。しかし、どう関わるかは変わっていない。ネットワークは昔より随分ある。
『責めない』『強要しない』これは、基本的に心がけること。『行けない』の中に、行きたくないとの拒絶は少なく、何か固い芯があるわけでもなく、弱い物である。動けなくなった辛さを受け止めてあげる。不調な時、出られない時は、苦しくなっている。安心・安全・味方であると思わせる。困っていることを手助けしたいと、子どもの様子を見る。人格を尊重し、表情、声の調子、食事は、細かい様子を見ていると、触れて欲しくないことが分ってくる。見守るけれど、秘密には進入する気はないよと、子どもに伝わっていることが大事。親も辛いと子ども辛くなる。物を買い与えること、気を使うことは良くない。知らんぷり、諦めたような態度はとらない、見守っている態度でいること。説教ではなく、ダメなことはダメと伝え、親の思い希望は伝え、関係をオープンにする」と話した。
さらに山本氏は、被災地に5、6月と支援に行き、9月にはボランティアで本を届けに行った。その時の印象深い体験を語った。
「町は、めちゃくちゃになり、人間のレベルが下がったと聞いた。支援物資に頼る姿に何かしようとする気持ちが下がり、町よりも人の復興が大事だと感じた。良いと思い、してあげたことに頼り過ぎ。支援者はしてあげたと大きくなり、支援された人は無力になっていった。やろうとする力が出来たことを、褒めてあげることに効果がある。これと同じように子どもにも、その子自身が自分でやろうとしたことを考え、努力したこと、結果よりもプロセスを褒めることが大事。具体的に褒め、細かなステップを提示し、励みになり自立する基になる」と話した。
保健所健康増進課・北博司氏は「親が子どもを見守る。どこまで見守っているか、監視なのか難しい。母は、下宿屋のおばさんになり、寝場所と食事を与え、プライベートには入らない。父は、クラブのコーチとなり、コーチは欠点を言わない。練習の時に、ルールと常識を教える。この関係が理想となる」と話した。
その後、参加者は1人ずつ状況や感想を話し合った。「気持ちを切り変えることを学んだ」「言いたいことがあると言ってくるだろうと、子どもの気持ちの聞き方が難しい」「今、子どもは充電中なんだ」「親子の距離を取る真っ最中」「心を開いてくれることは難しい。子どもの気持ちを理解して、今回、勉強になったことを活かしたい」と、それぞれに思いを語った。