『小樽の能楽展』 ギャラリー白方で開催


nougakuten.jpg 旧岡崎家能舞台を生かす会(三ツ江匡弘会長)は、能楽に興味を持つ初心者を対象として、レクチャーや体験を通して学ぶ「能楽体験ゼアミナール」を昨年12月より2月まで、市内各所の歴史的由緒ある場所や繁華な場所で開催し、いろいろな取り組みを行っている。
 1月17日(火)から22日(日)までは、3回目を迎える「小樽の能楽展」を、都通り商店街のギャラリー白方(稲穂)で開催している。
 三ツ江匡弘会長は「能楽の話をパネルにし、写真や能に関する楽器などを展示し、博物館的な要素を出している。能楽展は小樽の歴史を語る軸となり、小樽での能楽を支えて来たことを伝える」と話す。
 小樽能楽堂は、入船の高台に建つ個人宅に建てられた。建設主は岡崎謙氏で、小樽市議会議長を務めた。大名屋敷に建てられる格式に則って造られた。屋根は、寄棟(よせむね)づくり、軒先は二軒(にたのき)、屋根との柱の結節点は出三斗(でみつど)、梁で支える蟇股(かえるまた)は一辺二個。舞台の鏡板に描かれる老松は、末裔を京都に探し、小樽に招いて描かせた。岡崎氏没後、市に寄贈され、小樽市公会堂に併設。それが、現在の旧岡崎家能楽舞台である。
 岡崎謙氏は、宝生流の能を嗜み、囃子の稽古や自身主催の演能会を行った。所属していた小樽宝生会は、能楽普及に尽力した団体。その後、昭和61年に「能に親しむ会」を佐藤繁夫が発足。毎回、演能会を主催し、20年間で35回行った。後の旧岡崎家能舞台を生かす会の土台ともなった。
 能楽師が次々と小樽へ訪れ、稽古が活発に行われた。岡崎氏の師匠である波吉外次(大正後期)、疎開先とした近藤禮(昭和20年〜37年)が住んでいた。地域で活躍する能楽師も沢山いた。小樽での公演に参加した人の中では、宝生流宗家・宝生九郎もいた。大正末期から昭和初期にかけて、宝生流の全盛期となり、能楽界最高レベルの芸を小樽で堪能できた。能楽人口が多く、能楽取扱店として「左文字書店」があり、隣で営業していた「おきなや」がその後を引き継いだ。
 ユニークな「ろうそく能」・「狂言づくり会」などの能楽公演が行われた。十勝岳災害復興のための「義損能」が、大正末期に行われ、チャリティーなどでも、能に親しんでもらうための工夫が、先駆け的に実施されていた。
 最近では、2011年に能舞台創建85周年記念事業として、小樽における能楽公演のあり方を考える「おたる市民能」を開催した。能を学びながら、楽しめるレクチャーや体験等を盛り込んだ内容だった。
 能面の特徴は、「仮面劇」「歌舞劇」があり、室町中期から末期にかけてと考えられ、江戸初期に現在の形となる。能面は、基本的に60種類、それらが派生したものを含めると250種類。この代表的な面をパネルで紹介している。
 巨大な写真には、岡崎家に能楽堂あった頃(昭和30年代)、観世流・渡辺和英能楽師が舞う姿に、大勢の観客が写っている。能楽堂と能舞台との違いの説明や能舞台の模型を展示している。
 ギャラリー白方での落ち着いた雰囲気の中、小樽での能楽の歴史を学び、能楽を知る良い機会となっている。
 今後の催し予定は、
 18日(水)18:00 ギャラリー白方「世阿弥について」
 19日(木)18:30 小樽市公会堂・和室「能舞台について」
 21日(土)14:00 ギャラリー白方「能面について」
 22日(日)14:00 ギャラリー白方「囃子について」
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