新市立小樽病院建設に暗雲! 建築入札数ヵ月延期



 小樽市(花園2・中松義治市長)が、138億円の巨費をかけて建設する、新市立病院の建築主体工事49億円の入札で、談合情報が寄せられ、5日(月)の入札が中止となった問題で、3月6日(火)13:00から開かれた小樽市議会予算特別委員会(山田雅敏委員長)で、質疑が行われ、入札の延期は数ヵ月及ぶことが病院局の答弁から明らかになり、市の新病院建設に、俄かに暗雲が漂い始めた。
 市病院局は、6日(火)の予算特別委員会で、新市立病院建築工事の談合情報についての経過報告を行った。
 「小樽市立病院統合新築の建築主体工事の談合等についての経過は、公正入札調査委員会から、調査を行うよう通知を受け、病院局では、3月2日に同工事に参加表示していた2つの共同企業体、清水建設・岩田地崎建設・阿部建設とフジタ・近藤工業・福島工務店の6社から談合の事情聴取を行った結果、事実関係を確認していないとのことで、誓約書の提出をお願いした。誓約書の提出に加え、両共同体より、入札を辞退したいという申し出があり、受理した。辞退の理由は、両共同企業体とも、工事費を積算したところ、予定価格を超えるためとのこと。病院局では、談合情報の事情聴取や入札の辞退について、公正入札調査委員会へ報告したところ、談合等の事実関係を確認できなかったことから、調査を終了するのと通知を受けた。建築主体工事については、入札への参加表明をしていた2つの共同企業体が辞退することとなったことから、庁内に設置している病院建設検討委員会にかかり、3月6日付けで、建築主体工事の入札中止を報告することを決定した。他の4本の工事の入札は、今後、参画企業体への説明等を行い、引き続き延期としている。今後の入札については、決定内容を分析検証し、内容を踏まえて対応したい」と報告した。
 しかし、この後の質疑の中で、病院局は「辞退した共同企業体(JV)は、市の予定価格の49億円より、12~13億円高い積算なので、応札を辞退するとの申し出がなされた」ということを明らかにした。この結果、建築主体工事の入札は中止となり、空調工事など他の4つの工事は延期となった。
 今回の入札に参加しようとしたのは、2つの共同企業体(JV)で、1つは清水建設(本社東京)・岩田地崎建設 (札幌)・阿部建設(小樽)と、もう1つは、フジタ (本社東京)・近藤工業(小樽)・福島工務店 (小樽)の2つだったことが明らかにされた。この2つのJV共、談合の事実は無かったとしたが、12~13億円も高くなる積算で、価格の折り合いが付かないとの理由で入札を辞退するとした。
 しかし、入札参加時には市の予定価格が公表されており、予定価格内での入札を予定していたことは明らかだったが、何故か、市の予定価格では価格が折り合わず、しかも12~13億円も高くなるとの理由で、入札を回避した。これは、「談合の事実はなかった」との釈明で、そのまま応札し、落札業者が決まれば、寄せられた談合情報のままの結果となることで、さらに疑惑が拡大することを避ける狙いがあったことが透けて見える。
 他市や民間では、小樽市と同規模の新病院建設が半額程度で建設されていることを考えても、共同企業体側の主張の無理なことは、火を見るより明らかとなっている。これに対し、市は、「工事の積算価格は妥当なもので、見直すことはなく、価格の上乗せなどもしない。今回のことで建築主体工事入札中止が数ヶ月間伸びていけば、他の4工事も延期ではなく中止ということになる」としており、新病院建設は、まさに、風雲急を告げることになった。
 今回寄せられた談合情報の中には、当事者しかなかなか知り得ないような情報や落札業者を推定させるような特定情報が含まれていた可能性も高く、今後の展開から目が話せない状態が続くことになりそうだ。
 中松市長は、委員の質問に対し、「今朝、公正入札調査委員会が開催され、報告を受けた。談合が感じられないとの結論だ。今までも公正に公平にするよう指示している。今後も同様にやっていきたい。今回あたかも談合があったかのような質問が多い。談合があったわけではないので、しっかり理解してもらいたい」と答弁した。
 談合は、「公の競売又は入札において、公正な価格を害する目的、又は不正な利益を得る目的で談合することで成立する談合罪」とされ、「2年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する」(刑法96条の3)と規定されている。