小樽文学館(色内1)では、12月10日から4月1日まで企画展「高山美香のちまちまワールド『よくまあこんなに』」を開催中で、ちまちま人形作家の高山氏が、紙粘土で手作りした文豪や偉人のミニチュア人形を120体を展示しており、その人形にまつわる話もパネルで展示し、多くの来場者を楽しませている。
3月3日(土)14:00から同館で開催され、高山氏の楽しいトークに100名が集まり、ユニークなエピソードに、度々笑い声が響いた。同氏は、ひなまつりということもあり、5時間かけてユニークな発想の”足がしびれた女雛”を作り、来場者は手に取って見ることができた。
小さい頃の様子や人形作家になっていく課程を面白おかしく語った。「小さい頃、チラシの裏に絵を書いたりぬり絵をしていた。1日中ぬり絵をしていたら、母親から、ぬり絵禁止令が出た。お雛様を買って欲しいと頼むと、雛段の一番下にある牛車を買って来た。下の段から集める予定が1年で終わってしまった。欲しいものを与えてもらえず、自分で作ろうと発想が沸いた。発明家を気取り、最強の糊を作ろうと考えたが、失敗に終わった。歯磨き粉を白い絵具として使えないかと試した」など、ユニークなエピソードが語られ笑いが沸き起こった。
「絵ばかり書いていて、高校生の進路面談でも、絵を書く人になると貫いた。そして、イラストレーターとなった。30歳の時、むなしくなり、自分の作りたいものは何かを考えた。そんな時、好きなものを切り抜きスクラップブックを作った。文豪ややかんなど、古いものが好きなのだと思った。使った跡のある椅子、手すりの部分がすれているような、人の手に使われた作品、人の気配がするものを作り始めた」と話しを続けた。
「芥川龍之介が好きで、文豪ミニチュアを作り、芥川龍之介がちまちま人形の始まりとなった。いろいろな人と繋がり、コーヒー店や北大、小樽文学館で人形を展示した。幕別町や東京からも依頼が来た。人形を作る時は、その人物の本を30〜40冊読む。人物のあだ名はその人を知る一つの手段となる。いろいろなことを調べ、自分の中で人物像が出来上がり、肖像画を見ながら人形の製作に取り掛かる。その肖像画も何パターンかあることが分った。目指せ1,000体、北海道の、有名だけどあまり知られてい人を作りたいと思う」と語った。
玉川同副館長は、「人々が使ってたテーブルを作り展示、テーブルを使った家族それぞれの物語があって、その人が使っていたということが、高山氏は面白いと言い、それが人形に現れている。人形への凝り方も、下駄に石が挟まっていたり、手を抜いていない」と話した。
高山氏は、「こんなに沢山の人が来てくれるとは思わなかった、初めは小物を作り人形を作った。人形だけで東京へ行くこともある。人形作りは、いろいろなことを調べて作る。ミニチュア人形を1回見ても気付かない、何度か見ているうちに気付くこともある。アインシュタインは、裸足に靴で何でだろうと思った時、本を読むと、”シンプル イズ ベスト”で、靴下なんていらないことが分ったというように、本を読んだ時に『あ~!』と思うことがあると思う。パネルに書かれていないことも次々と見えてくる。1,000体と言ったが同じ人物が、2体、3体あり、それは1体とカウントし、1,000種類を目標としている」と話した。
市内女性は、「文学館で3回とも見に来ている。人形がリアルでパネルのコメントが面白い。高山さんが調べたものが人形につまっていて、知らないことがパネルに書かれていて味があってとても面白い」とちまちま人形のファンになっていた。
講演終了後、高山氏直筆のサインに長蛇の列が出来るほどの人気となり、ひとりひとりに笑顔で受け答えをしていた。
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