小樽市総合博物館(手宮1)では、企画展「養蜂とハチの世界」を、4月7日(土)〜6月24日(日)の9:30〜17:00、本館2階企画展室で開催中だ。小樽市で唯一の「岩埼みつばち園」での養蜂業の紹介や当館収蔵の200種類のハチ類を展示している。
同館企画担当の山本亜生学芸員は「養蜂業とは、どんな仕事なのかを知ってもらい、ハチの標本を展示し、身近なハチは多種多様であり、小樽には、こんなに沢山のハチが生息し、良い自然を証明している。ハチ類のコレクションをこの機会に是非見てもらいたい」と話す。
ミツバチには、セイヨウミツバチとニホンミツバチがいるが、小樽では、セイヨウミツバチが生息し、北海道では、オオイタドリ・ソバ・シナノキ・トチノキ・ニセアカシア・シロツメクサ」などから蜜を採取している。花の種類により、蜂蜜の香りや特徴が違う。
紀元前6,000年のスペインの壁画に描かれていた、蜂蜜を採取している様子や、紀元前2,000年頃から始まった養蜂が、アメリカの養蜂家ラングストロスの遠心分離機と巣箱の発明によって、近代の養蜂を確立し、結果、巣箱を壊すことなく蜂蜜を採取できるようになった「養蜂の歴史」を紹介。
養蜂業「岩崎みつばち園」での仕事や道具も紹介。40年前から始め、年間2,000ℓ以上の蜂蜜を採取している。6月から8月が時期。作物の受粉のために巣箱を貸出す事もある。冬は、巣箱を雪の中に埋めて越冬している。会場側の外への出口では、ミツバチの巣箱を設置。6,000匹以上の働きバチと1匹の女王バチがいる。中身が見えるように展示している。
「小樽のハチ類」では、当館収蔵の200種類を展示紹介。北海道に生息するハチの1/4に当たる300〜500種類を収蔵し、20年前からハチを採取している。絶滅危惧のハチも生息し、「ハナダカバチ」は、「環境省指定準絶滅危惧」に指定され、砂浜に住み、小樽には自然が残されていることが分かる。
ハチの標本の横には、ハチの拡大写真を並べ、見学者には、大変見やすい配慮がされている。ハチは多種多様で、「カリバチ類」食べ物として生き物を狩るハチや「寄生バチ類」の「マルヒメバチ」は、体長より長い産卵管を持ち、チョウの卵などに産卵し、幼虫の体内で成長し体外へ出るハチで、葉や木を食べる「ハバチ・キバチ類」は、原始的特徴を持ち、「カラマツハラアカバチ」によるカラマツの被害が報告されている。
「スズメバチ類」では、小樽で15種類を確認し、大型で攻撃性がある。小樽で一番多いのは、「キイロスズメバチ」。アリもハチの仲間ということで、アリも展示している。クサアリの巣は、木屑で作ったダンボール紙のような素材で、アリが植えつけた菌類の菌糸で補強されている大変珍しい巣も展示している。
他に、世界で一番大きなハチで、タランチュラを食べているクモバチ科の一種であるブラジル産「タランチュラホーク」など、「海外のハチ」も紹介している。
「ハチの威を借る昆虫たち」も紹介し、ハチのまねをして敵から身を守るものや、アリの巣に入り込んで生活するゴマシジミなどを紹介、最近では、この分野が注目されてると、山本学芸員は説明した。
幸小学校4年生松井貴大君は、「小樽に住んでいるハチが多く、女王蜂は、大きくて迫力があった。オオスズメバチの女王が凄かった。衝撃的だった。どうやってハチを捕まえるのだろうと考えた。凄いと思った」。お母さんは「蜜蝋の作り方のビデオが面白かった」と感想を話した。