小樽市の中松義治市長は、5月29日(火)11:00から定例記者会見を開き、新市立病院の入札中止について、平成23年度観光入込客数について、第24回おたる運河ロードレース大会などについて説明した。
この中で、新市立病院の大型工事の入札が、2度にわたって中止になってから、公の席でのはじめての市長発言が注目されたが、市長は、「多くの皆さんに迷惑をかけることになり、大変申し訳ない」と陳謝したが、「発注方法については、特に変更せず、従来通りにさせてもらいたい。予定価格を変えずに、中身を少し見直ししながらやっていきたい」と、これまでの取り組みを変えることなく、仕様書の見直しで対応することを明らかにした。
しかし、今後、市長の思惑通りで事が進むかは、依然として不透明で、異例の2度にわたる新病院工事の中止の影響が、中松市政の上に大きく被さってきた。市は、この事態の対応に追われることになり、その行政レベルが、改めて問われることになろう。
1.新市立病院の入札中止について
「5月23日に予定していた新市立病院建設工事2回目の入札について、入札参加予定者の辞退に伴い、今回も中止とせざるをえない。中止に伴い、新病院の開院が遅れることになり、結果的に新病院建設をを望んでいる多くの皆さん、関係者の方々に迷惑をかけることになり、大変申し訳ない。
病院局には、2回にわたり中止になったことを大変重く受け止め、原因を早急に検証し、出来るだけ早く建設工事の発注が出来るよう必要な作業を進めることを指示した。入札辞退を受け、市長部局としても、これまで以上に病院局との連携を強化する体制、その他どのようにしたら良いか、いろいろと検討していかなければならないと考える。市民の命と健康を守っていくための新病院の建設は、絶対必要だと思っているので、1日も早く、新病院が開院できるよう、全力を挙げて取り組んでいきたいと思う」とした。
また、記者との質疑の中で、発注方法の見直しや予定価格を見直しについては、
「基本的には設計業者に対して、できるだけ早く報告するように伝えている。発注方法については、特に変更せず、従来通りにさせてもらいたい。予定価格は、東日本大震災の後の復興復旧工事によって、建設資材、人件費が高騰している。価格の見直しもさることながら、建築資材を含めて検討していかなければならない。生コンの価格が30%上がり、建設資材全体が高騰しているのではないかと思う。同じ仕様では価格を上げなければならないのかと思うが、価格を変えずに、中身を少し見直ししながらやっていきたい。業者にお願いしているので、どういう形で回答がくるのか、見極めた上で検討していきたい」
「中身を見直し予定価格を変えないというのは、資材のグレードを下げていくなどの意味。壁紙など体制に影響のない形で、建築資材等のグレードを少し下げていくなど。いずれにせよ、市長が判断するのではなく、設計業者に指示をしているので、それに基づき判断したい。設計業者に対して、1週間か10日以内の期限で、仕様書を早急に出すように要請している。それを見た上で判断し、現状では、開業が遅れざるを得ないと思うが、それでも出来るだけ短期間で開業できるようにしたい。小樽市の財政を考えると、大きな負担がかかるので、平成26年度のなんとか雪の降る前に、1日も早く開業したい」と、設計業者頼りの姿勢を露にしていた。
2.平成23年度観光入込客数について
「平成23年度観光入込客数は、603万6,000人となり、前年度より64万1,700人減少。対前年度比は90.4%となった。内訳は、道外客は166万9,900人、前年度より16万7,700人減少し、前年度比では90.9%。道内客は、436万6,100人、前年度より47万4,000人減少し、前年度比90.2%となった。平成23年度全体に占める道外客と道内客の比率については、昨年度とほぼ同程度だった。
日帰り客数については、547万2500人、前年度より62万700人減少し、前年度比98.8%。宿泊客数は56万3,500人、前年度より2万1,000人減少し、前年度比96.4%。宿泊客延数64万3,600人、前年度より1万9,700人減少し、前年度比97.0%。
東日本大震災とそれにともなう福島第1原子力発電所の事故により、国内においては自粛ムードが高まり、海外においては、原子力発電所に事故による放射能問題や円高の影響から、23年度上期の観光入込客数は、対前年比85.5%と大幅な減少となった。
昨年のゴールデンウイークを境にして、国内外での観光客について除々に回復傾向が見られたため、下期では、前年度並み程度まで回復した。しかし、上期の大幅な減少により全体では、前年度を1割程度下回る結果となった。外国人宿泊客数は、諸外国政府による渡航禁止が次第に緩和されたことを受けて、下期は回復基調を示したが、こちらについても上期の減少が大変大きく影響し、全体で3割程度下回る。
小樽市としては、震災以降、観光客が激減している現状を目の当たりにし、様々な施策を実施してきた。平成24年度は、5月21日に、かねてより誘致活動を勧めていた100人を越える中国人のゴルフ大会が開催された他、小樽国際インフォメーションセンターとして運河プラザ内の総合案内窓口の再整備を行うなど、小樽観光協会と連携し、受け入れ態勢の充実を図るとともに、積極的なプロモーション活動を展開し、国内外の観光客誘致に務めたい。
3. 第24回おたる運河ロードレース大会について
6月17日(日)に開催予定で、参加申し込み者の締め切りをしたところ、3,264人と前年比515人増加。この中でハーフマラソン参加選手者は1,511人。346人増加。小樽運河とともに臨港公園沿いや高島・祝津の海岸線を走るコースに人気がある。以前はみそ汁を提供し、好評を得ていたが、今回は、特製の豚汁を提供したい。新たな取り組みとして、小樽観光協会の売店を設営するとともに観光協会加盟店のクーポン券を配布し、小樽をPRしたい。