今世紀見納め!金星の太陽面通過 総合博物館で観察会


venustosun.jpg 小樽市総合博物館(手宮1・青木良英館長)は、6月6日(水)7:00より同館正面玄関前広場、金星の太陽面通過の観察会を開いた。
 朝からあいにくの曇り空で、太陽が見え隠れする空模様の中、同館では、朝早くから同館科学ボランティア2名と学芸員1名により、望遠鏡での投影法と太陽観察用望遠鏡(コロナド)がセットされ、観察会が開かれた。通学、通勤前にもかかわらず、興味を持った市民が立ち寄る姿も見られ、珍しい現象を見ようと好奇心旺盛な人々が集まった。
 7:10に、太陽面に金星が入り始め、雲り空から太陽が顔を出すたびに参加者は、観測メガネで空を見上げていた。館内では、特設スクリーンによる、岡山天体物理観測所のインターネット中継が流され、金星の通過を楽しむこともできた。venustosun1.jpg
 金星の太陽面通過とは、太陽・金星・地球が一直線に並び、地球からは太陽面を金星が通過していく様子を見ることができる。7:10に始まり、13:47までの6時間37分かけて通過する天体ショーとなった。
 前回は、2004年6月8日に起こり、次回は、105年後の2117年12月11日に起こるため、人生最後の観測チャンスいうこともあり、この天体ショーを見届けようと感心が高まった。この現象は、8年、121.5年、8年、105.5年という周期で繰り返す。大きさを比較すると太陽半径は、696,000kmで、地球の約109倍、金星の約115倍。金星半径6,378kmで、地球の約0.92倍、地球半径は6,952kmと、金星と地球の大きさはほぼ同じ。
 今回見える金星は、太陽面の直径約33分の1の大きさに見える黒い点で、太陽面の左斜め上から入り、右斜め上を抜けていった。
 同館大鐘卓哉学芸員は、金星にまつわる話や黒点につてい説明し「今年は、金環日食、金星通過、これから起こる8月14日深夜2:45から金星が月の後ろを通過する金星食の『トリプル金』と言われ、天文ファンにはたまらない年となった」と話した。
 雲が多くなった9:00前には、太陽が隠れ、雨が降り出し最悪の天気となった。札幌から宿泊研修中の中学生が同館に立ち寄るなど、館内のスクリーン中継からの現象を400人が見つめていた。
 最後は、屋外での観察を諦め、館内で、りくべつ宇宙地球科学館のインターネット中継を、30名が見守る中、13:47太陽から金星が姿を消し、拍手が沸き起こった。
 市内40代の女性は「今日は仕事が休みでこちらへ来た。雲が多く朧月みたいな太陽だけ見え、金星は見えなくて残念だったが、館内の中継で楽しんだ」と残念そうに話した。大鐘学芸員は、「午前中だけでも見られて良かったと思う。金星が月面に隠れる現象も楽しみです」と話した。

venustosunm1.jpg
venustosunm2.jpg
小樽市総合博物館提供