伝統の日本泳法「向井流水法会」が游法公開



 向井流水法会(川端信義会長)では、8月5日(日)10:00から、東小樽海水浴場(日赤救護所前)で、第22回向井水流法会「游法公開」を行った。
 曇り空で雨がポツポツと降るあいにくの空模倣の中、気温28℃、水温22℃で、海水浴客もまばらだった。その中で、小樽支部と帯広支部の小学生から大人までの25名により、公開演技が行われた。
 扇足(あおりあし・水中を歩くような足技)を主とした横泳ぎ「水府流太田派游泳術」13種目と、踏み込み扇り(足首のスナップを活かして前足の裏で水を踏み込む)の半立体游法「向井流水法の游ぎ」20種目を披露した。参加者は、名前を呼ばれると元気に返事をして、游法を演技した。
 小樽支部では、週1回、高島プールで練習し、中高生から最高齢は90歳の会員がいる。この「向井流水法」は、平成3年9月2日に小樽市指定無形文化財となった。向井流は、15世紀頃伊勢地方で生まれた。江戸幕府御船手の遊泳の原形で、今日では、我国に残る日本泳法の12流派のひとつである。小樽には、明治28年に元会津藩士によって伝えられた。泳ぎの基本は、飛び込む時も泳ぐ時も目標から目を離さない。泳ぎの姿勢は立ったような状態が基本となる。
 伝承文化の維持継続のために、毎年公開している。以前は、蘭島海水浴場を会場としていたが、東小樽海水浴場での公開は今年で4回目となる。
 向井流水法の「平游」は、水中にあっても平然と歩いているように心がけ、目標から目を離さず泳ぎ、暗がりで敵に踏み込む時使われ、静かに泳ぐのが特徴と説明した。後半は、高度な游法が演技され、泳ぎながら文字を書く「水筆」や、全国でもあまり泳げる人はいないほどの游法「扇子諸返し」の扇子を足に付け濡らすことなく上手に泳ぐさまに大きな拍手が起こった。

 同会奥野實さんは「天候に影響され、観客がいつもより少なく残念だった。小さい子ども達もこんなにできるようになったと感心した。会員は高齢者が多く、少しでも若い人々が増え、小樽の無形文化財向井流水法の後継をしてもらいたい」と話した。
 同会秋田優さんは「泳ぎを懸命にし、近年になく立派でしかっりしていた。水温23℃と寒さにも負けずがんばったと思う。向井水流法が末長く続くよう、日頃の精進を忘れず、怠らず、来年も皆さんに会いたい」と講評した。