移築後51年開かずの切戸開放 旧岡崎家能舞台


kirido2.jpg 旧岡崎家能舞台を生かす会(三ツ江匡弘会長)では、9月1日(土)の「おたる市民能」に向けて、8月24日(金)10:30より能舞台にある切戸を、移築後51年ぶりに開ける工事を行い、15:00に無事に開放した。
 切戸は、幅90cm、高さ120cmの神代杉を3枚合わせて作られていた。今後、切戸口から楽屋を仮設する。切戸は、舞台に向って右側奥の隅の引き戸をいう。演能スタイルで変わるが、後見や地謡などの演技者以外の人が出入りする際や、仕舞の舞人や囃子方が使用する所で、本来能舞台の機能として必要だったが、開かないまま、切戸の後ろにも楽屋がない状態だった。
 三ツ江氏は「旧岡崎家能舞台を生かす会という能舞台の再建への意味も込めて、整った機能をした能舞台として、能楽堂と呼べるように正式な演能に使えるようにしたかった」と話す。
 現在の小樽市能楽堂は、荒物雑貨物商として成功した岡崎謙氏が、大正15年1月に、自宅邸内に能舞台を竣工し、舞台開きとして演能会を行い、その1年後、昭和2年秋に狩野派第17代狩野秉信氏を京都から呼び、2ヶ月かけて鏡板の松と竹、揚幕部板戸に唐獅子を描かせる手の込んだ舞台だった。岡崎氏の死亡後、昭和26年に現在の市公会堂の場所に移築した。その後、能舞台は暫く公演が行われなかったが、市民の有志の動きで平成5年に公開された。
kirido1.jpg 旧岡崎家舞台未整備機能設置計画として、他に、舞台正面の空堀部分へ仮設客席スタンドを設置、舞台床下には、吸音(悪い周波数の音を消す)のため、カーペットを敷く予定。正面向って右のビニールカーテン部分に冬囲いの板を貼り、音が響くよう作業を行い、8月30日(木)を完成予定としている。市民能終了後は元に戻す。
 三ツ江氏は「この作業は、能舞台再建の第一歩となる。仮設のため切戸は閉じる。予算に折り合いをつけ、継続的に常設できれば良い。切戸口が使え、裏に楽屋がある状態にし、きちんとした能を見てもらうためには工事が必要。今のままでは機能が足りず、きちんとした機能を果たすことが、本当の能楽堂と言える」と話した。
 「小樽能楽文化復興継承プロジェクト」市民の市民による市民のための手づくりの能楽公演「おたる市民能」が、9月1日(土)17:30より開演する。地元団体による仕舞・連吟、能楽あれこれミニ講座、職分による舞囃子、狂言 仁王、能装束着付け紹介、半能 橋弁慶が行われる。全席自由席で、入場料前売り一般2,000円、小中学生1,000円、一般・小中学生とも当日500円増。未就学児童の入場はできない。
 チケット販売窓口・問合せ:旧岡崎家能舞台を生かす会事務局。TEL:0134−22−8713、月曜〜土曜10:00〜16:00(12:00〜13:00昼休み、日・祝)