劇団うみねこ『二十五年目の夏』 4年ぶりの自主公演


umnekotheater1.jpg 劇団うみねこの創作劇「二十五年目の夏」本公演が、12月8日(土)・9日(日)、運河プラザ(色内2)3番庫ギャラリーで開かれた。初日である8日の公演には、降りしきる雪の中、65名が観劇した。
 同劇団は、今年で創立50周年を迎えた。4年ぶりの自主公演となり、熱が入った稽古を重ねてきた。
 台本は、同劇団吉川勝彦代表が、42年前に執筆した未発表作品「二十五年目の夏」に、新たに「夏の雲は忘れない」の一部を朗読として加えた創作劇。吉川氏は、脚本、演出、舞台監督をこなし、被爆者津川静夫役を演じた。同劇団員や、小樽桜陽高校演劇部、一般公募を含め13名が出演した。umnekotheater2.jpg
 昭和20年に原爆が投下された広島市は、多くの犠牲で苦しんだ。その25年後の昭和45年を舞台としている。被爆者として生きる自分の内あるに葛藤と交差する複雑な気持ちに翻弄される主人公・佐田進と、その妻・了子との会話から、支え合うことをテーマとし、夫婦の愛が被爆者であることを隠す妻の心情を変えていく、夫婦のあり方を描き表現している。
 会場は、観客と演者との距離が近く、一体感が味わえ、観客は次第にストーリーに吸い込まれていった。
 公演を終え、吉川氏は「この台本は、25歳の時に書いたもの。当時の男像が違い、こんな優しい男は成り立たないとお蔵入りしていたが、昨年の福島の原発事故が起こり、何か自分でも役に立てないかと思い公演となった。劇団うみねこは、今年50周年を迎え、今までいつ潰れるのだろうと思ったことが多かった。どこかで皆さんが支えていれくれた。これから先どれくらい続くのか分らないが、誰かがこの町にも劇団があったら良いよねと思ってくれている限りあると思う。叱咤激励をお願いしたい」と挨拶した。
 市内40歳代男性は「娘が出演していたので見に来た。演技は良かった。被爆は経験もなく遠い話だけれど、今この時期には、大切なことだと改めて感じた」と話していた。