"歳を重ねるってどういうこと" 高齢者擬似体験


gijikoreisya1.jpg 社会福祉法人小樽市社会福祉協議会小樽市ボランティア・市民活動センターが主催し、
1月19日(土)10:00から、小樽市総合福祉センター(富岡1)4階研修室で、「高齢者擬似体験研修会」が開かれた。
 高齢化が進む小樽で、高齢者擬似体験を通して、高齢になった時の様子や気持ちを体験し、高齢者への理解を深め、さりげなく支え合える地域づくりを進めようと、6年ぶりの開催となった。
 ボランティア研修会や小中学生の総合学習などで、ほとんどが高齢者に係わりがあり、また関心がある市民10名が参加した。講師は、社会福祉法人栄和会特別養護老人ホーム厚別栄和荘総合施設長の瀬戸雅嗣氏が務めた。
gijikoreisya2.jpg はじめに「障がいを持つ高齢者が感じている世界とは」と題して、講演が開かれた。「平成23年では、男性79.44歳、女性85.90歳と平均寿命が延び、世界トップクラスとなった。60年ほど前は平均寿命が50歳くらいで、長生きを望んでいたので、喜ばしいことであるが、65歳以上の平均有病率は512.4人(人口1,000人に対して)と、年齢が上がるにつれ有病率も上昇している。認知症の出現率も、65~69歳は1.5%、80~84歳は14.6%、85歳以上は27.3%と、女性が平均寿命まで生きると、4人に1人が認知症とリスクが高くなる。
 認知症の将来推計は2010年280万人。現在300万人もいることに衝撃を受ける。認知症の人がどこで生活をしているかは、有料老人ホーム等は10万人、認知症老人ホームが14万人、居宅は140万人で、在宅半分、施設半分といえ、居宅が増える予想」と説明した。
 認知症の定義や物忘れと認知症の違いなどを説明後、2人1組になって高齢者疑似体験が行われた。
 足首や手首の重り、重りの入ったベスト、耳栓、白内障を体験するためのゴーグル、ゴム手袋と布手袋という、高齢者擬似体験セットを装着し、さらに半身不随を体験するために、片方の脚や腕が曲がらないように固定具を付けた。危なくないように補助をしてもらい、杖を使用して、階段やエレベーターを歩行。トイレに入ったり、電話をかけたり、新聞を読み、小豆やおはじきを箸でつまんだりと、それぞれを体験。
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 参加者は、「視野が狭い」「動きづらい」「不自由を感じる」「何年かしたら自分もこうなる。歳を重ねることとはこういうことだと実感した」「何年か前にも体験した。視野が狭くなり、見えない怖さがある」「健康管理に注意したい」「普段80歳から90歳と触れ合う機会があり、動作を体験し、優しく接してあげようと思った」など、活発に話し合った。
 60歳代の男性は、「いずれはこうなるのかと、不自由な時、援助してくれる人がいて、支えてくれる人がいることが大切。同じような装備をして目隠しをして地下鉄で経験した時は怖かった。体の不自由な状態を介助する人間が知ることは大切で、不自由さを理解でき、勉強になる」と話した。
 瀬戸講師は、「本人はできると思っているができなかったりするので、見守る位置にいる。言葉かけが大事。対人サービスの基本は相手を知ること」と話した。