小樽市鰊御殿 今シーズンの営業開始


nishingoten1.jpg 昨年11月23日に営業を終え冬期間閉鎖していた「小樽市鰊御殿」(祝津3)が、平成25年度の営業を4月6日(土)から開始した。
 同施設は、平成16年度より株式会社小樽水族館公社が管理を行っている。オープンに向け、2日前から除雪作業等の準備を始めた。初日の6日(土)は、風は強かったがまずまずの天候となり、営業開始を聞きつけた市民や観光客が同御殿へ訪れ、長い冬が終わった小樽の観光シーズン到来を実感していた。
 平成19年度より恒例となっている初日の2日間に限り、入場者を対象に「鰊の三平汁」を昼11:00頃から各日50食限定で振舞われる。
 鰊の三平汁は、三浦水産(祝津2)の糠鰊を使用。大根、にんじん、じゃがいも、刻みねぎを入れた塩味仕立ての汁物。かつて大量に穫れた鰊の保存方法を利用した糠鰊を、三平汁で味わいながら、当時の鰊漁や歴史に思いを馳せた。奈良県から訪れた夫婦は、「鰊の臭みがなく、とても美味しい」と思いがけない三平汁に舌鼓を打った。
nishingoten2.jpg 鰊御殿は、明治30年、西積丹の古宇郡泊村に建てられたもので、積丹地方有数の鰊親方の1人で、巨万の富を築いた田中福松氏が所有していた。昭和33年に、現在の位置に復元した。移築後、小樽市に寄贈され、昭和35年、本道の民家で初めて「北海道有形文化財鰊魚場建築」として指定された。
 現在も梁と柱は、当時のものそのままを使用し、60%は、北海道の広葉樹タモ材を使用している。囲炉裏の上には、煙を出すための吹き抜けに、長い木材をふんだんに使い、親方の富の象徴とも言われ、親方と漁夫が共に生活をしていた。漁夫は、2月になると住み始め、鰊漁の準備のため、網や船の修繕をした。3月から5月までが鰊漁時期で、「一網千両」といわれ莫大な利益をもたらした。
 鰊漁や鰊加工に使われた道具、生活用品や当時着ていた着物や写真を御殿内に展示し、当時の様子を知る観光スポットとなっている。
 平日は2名、土・日・祝日は3名のスタッフが常駐し、希望者には、御殿内を案内することも可能。半纏を無料貸し出し、記念撮影を楽しむこともできる。昨年は約2万1千人が来場し、本州からの観光客も多いという。
 同社・本間宏信総務部次長は、「今シーズンは、鰊が大量に獲れ、以前よりも増えてきている。5月にはにしん群来祭りが開催され、観光シーズンを迎える。是非、多くの方々に来て頂きたい」と話した。
 第5回おたる祝津にしん群来祭りを、5月18日(土)・19日(日)に開催し、鰊の幼魚の放流式などを予定している。
 鰊御殿 0134-22-1038
 平成25年4月6日(土)~11月24日(日) 9:00~17:00 (10月16日以降~16:00)
 入館料:大人300円、高校生150円、市内在住の高齢者(70歳以上)150円、中学生以下無料