深海1,000m水圧実験に歓声!おたる水族館

 おたる水族館(祝津3)では、3月16日からの通常営業開始と同時に特別展「深海生物」を開催し、多くの来館者が興味を示している。
 有人潜水調査船「しんかい6500」から撮影した深海の世界コーナーでは、深度3,898m釧路海底谷下流で撮影した「オトヒメノハナガサ」や、マヌス海盆2,502mで撮影した「ヒゲナガダコ」などのパネルを展示し、珍しい数々の深海生物を紹介している。
 また、展示中の自分の体で生成した鉄のウロコを持つ「スケーリーフット」は、2009年11月に同船がインド洋で持ち帰った貴重な生き物。その潜水調査船を所有している独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)広報課から、西川徹博士と中嶋節子アシスタントを招き、4月21日(日)10:40から本館2階ホールで、特別展「深海生物」特別企画・実験教室「水深1,000mの水圧実験」を行い、家族連れなど60名が集まり、深海の世界を実験を通じて体験した。
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 西川氏は、水が持っている力を水圧と言い、海の表面から1km潜ったらどんな力が掛かるかについて、水深1,000mを再現できる装置を使い実験した。水深1,000mでは、100kgの重さがかかり、小指の先に力士がのしかかる位の重さを言うと説明。
 実験では、発砲スチロールのカップ(カップラーメン容器)を装置に入れ、水深1,000mに入れるとどうなるかを目の前で見せた。除々に圧力をかけると、少しずつ縮んでいくカップを見て、観客は歓声を上げた。200mで一度止めて、「深海の定義を、ここでは光が届かない世界を深海とし、200mでは太陽の光が届くが、その後は届かない暗黒の世界で、展示中の生物が生息している」と説明した。
 その後、圧力をかけ、一気に水深1,000mに。容器に含まれた空気がつぶれるために小さく縮んだ。全部の方向から力が掛かるため均等に縮まると説明。また、圧力を抜いてみせると、泡を出しながら元には戻らないが少し大きくなった。「この容器には沢山の炭酸ガスが入っていて、熱を通さないようになっている。押しつぶれカップに沢山の泡がついた。1,000mではなぜ見えなかったか、気体は圧力で大きさが変わり、圧力が高いと大きさが小さくなるため見えなかった」と解説した。
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 2つ目は、ピンポン玉を2個用意し、穴の開いたピンポン玉と開いていないピンポン玉を入れて実験が行われ、参加者が予想することから始まった。穴が開いていないピンポン玉は破裂した。穴の開いている方は何も変化がなかった。穴から水が入り、水の力は全ての方向から均等にかかるため形が変わらないと説明し、実験は終了した。
 札幌在住の親子で参加の母親は、「テレビで見たことがあったが、目の前で縮み具合を見て面白かった。深海の定義を光の届かない所と話していたが、それぐらい深く暗い所なのだと思い、潜水艦しんかい6500はすごいと思った。子どもに夢を与えてもらえる」と満足した様子だった。
 小田誠館長は、「深海の世界は見る機会がなく、今日は1,000mを体験した貴重な実験教室となった」と話した。
 なお、特別展「深海生物」は、5月26日(日)まで同館1階で開催している。