3人の作家による個展開催 市立小樽美術館


 市立小樽美術館(色内1)では、3人の作家のそれぞれの思いが詰まった個展が、5月22日(水)から始まった。
 市民ギャラリー1で開催する「connect cojica 05」は、札幌在住のアーティスト武田浩志氏によるポートレートシリーズの平面作品31点を展示。札幌をはじめ、東京、大阪、海外での個展を開催。小樽では初めての開催となる。
 人の型をモチーフに、木のパネルに和紙を貼りつけ、アクリル絵の具などを数十層重ね描く。ウレタンをかけ光沢を出したり、金板を貼り付け変化させたり、その時々の興味が詰まった作品に仕上げている。武田氏が生まれた家をモチーフに神殿を制作。平屋から2階、3階と積み上げ展開した作品も展示。全体的にパステル調のカラーを使用し、不思議なアートの世界を醸し出している。

 市民ギャラリー2では、富山県富山市から小樽へ転居し、2年半になる佐藤さがみ氏の小物の器から大きなオブジェ、2011年に道展入選した作品を含め100点の陶器を展示。1990年に趣味で陶芸を始め、23年が経つ。今回の作品展は、富山で制作した作品が殆どで、この個展を期に、北海道小樽での新しい作品作りへのきっかけを作りたいと開催。
3koten.jpg 日常のいろいろなものを見てイメージが湧き、それを形にしている。ひとつの作品を制作するまでに、いくつも同じものを作りその中で納得のいくものを作品としている。佐藤氏は、「見る人が、作品を何に使いたいと思うかが楽しみ。この機会に是非、土との戯れ方を見ていただきたい」と話した。
 多目的ギャラリーでは、「喜寿記念 第2回笹川誠吉水彩画個展」を開催。画歴55年になる笹川氏は、小・中学校の美術の教員で、水彩画を教えるために自ら極め、道展や日水会員となり、小樽市生涯学習はつらつ講座講師を現在も務め、小樽水彩画会会長でもある。
 2002年にも個展を開催し、同展は、77歳を記念して2年前から構想を練り、2回目となる。1970年制作の東山中旧校舎をはじめ、10年間書き貯めた水彩画50点を展示している。
 用紙をしわしわにしたランプルやボールペンで下書きした淡彩なども出展。一味違った水彩画を楽しむことができる。正面奥には80号の小樽運河冬景や、60号が5点と大作が多く、来館者を楽しませている。小樽運河では、冬の風景しか描かないそうで、寒々とした運河の風景から春を待ちわびる小樽市民の気持ちを込めて描いている。神威岬を夏にスケッチし、雪を降らせ自由に想像し仕上げた雪の岬は、極寒の地ならではの寒さが伝わってくる。

 笹川氏は、「水彩画は容易に描けるが、テクニックは油彩と同じように難しい。作品を何度も見直し納得がいくまで半年かかる作品もある。色も自由に作家の思いで描くことができるが、技術は必要。多くの方に見てもらいたい」と話した。
 市立小樽美術館(色内1−9−5) 5月22日(水)~26日(日)10:00~17:00(最終日16:00)
 市民ギャラリー1 『connect cojica 05』
 市民ギャラリー2 『佐藤さがみ作陶展』
 多目的ギャラリー 『喜寿記念第2回笹川誠吉水彩画個展』
 各会場とも入場無料。