新しい波を発信 "Wave(ウェーブ)12人展"


waveten1.jpg 小樽から新しい波を発信する「Wave(ウェーブ)12人展」が、5月14日(火)から19(日)10:00から17:00まで、小樽市立美術館(色内1)1階市民・多目的の両ギャラリーで開催中だ。
 札幌、小樽在住の30〜60歳代の12名の作家が59点を出展。彫刻、油彩、水彩、金属工芸、版画の写実的な作品からアートな作品まで個性豊かで魅力的な作品が並び、来館者の目を楽しませている。
 同会は、1988(昭和63)年に、競作の場を希う13人の自由な個展の集合体として開催され、2006年に「新しい波」を小樽から発信しようと、「Wave(ウェーブ)」と改名し、今年で8回目を迎える。
waveten2.jpg 会場を入ってすぐの多目的ギャラリーでは抽象的な作品が多い。隣の市民ギャラリーは、抽象画や風景画も楽しめるように、搬入時には作家らが集まり一番作品に合う位置を探した。こだわりを持ち、作品がその位置で意味をなす展示を4時間かけて行った。窓から射す自然光によって作品が引き立ったり、真っ白な壁面の綺麗さと床に写る人物や作品の陰など、いろいろな楽しみ方ができるという。
 金属工芸を4点出展している安田眞紀子氏は、銅版を打ち出した作品で、地面と保護色のハゼが4匹寄り添う作品や肖像レリーフなど、いつもとは違った作品も面白い。徳吉和男氏は、オホーツクや羊蹄山、秋光の丘など、独特な色使いが印象的で、風景のデッサンをし、入念な地作りを行い再構成して描いている。
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 羽山雅愉氏は大きな油彩を3枚出展し、冬のアイスバーンや雨に濡れた道路に小樽の建物が反射した作品は、心に残る風景画。高野理栄子氏は、「Kanke」と題して銅版画が並ぶ。今回初出展の札幌在住の八重樫眞一氏は、この作品展のファンとなり自分も出展したいと参加。心象画的な風景画で見る位置によっては3Dのような動きのある作品で興味深い。来館者は、様々な想像力を膨らませ、個性豊かな作品を鑑賞していた。
 ナカムラアリ氏は、「青~緑の午睡」と題して版画を出展し、場所や空間を利用して作品を見せる展示をし、自然光や見る位置によっても表情が変化する作品。「美術に詳しくなくてもどんな方でも楽しめる美術展である。長い距離を必要とする作品や小さなスペースでも引き立つ作品など、4時間をかけての展示の効果を楽しんでもらいたい。作家が当番でいるので、聞きたいことがあれば気軽に声をかけてもらいたい」と話した。
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 何年も作品展を見ている桜在住の50歳の女性は、「アリさんの作品のイメージがブルー系なので、今回の赤はかわいらしくて印象的。何度も見ていると、作家の作風を覚えてしまい、今回は、どこだろうと探してしまう。抽象画などは、自分で理解し楽しんでいる。作家のその時々の考え方や捉え方に微妙な違いが感じられ面白い」と感想を話した。
 Wave(ウェーブ)12人展 5月14日(火)~19日(日)10:00~17:00 入場無料
 市立小樽美術館1階多目的ギャラリー・市民ギャラリー