小樽地区林野火災強調週間(4月21日~5月31日)に合わせ、5月23日(木)10:30より、小樽市天狗山スキー場(バンビコース)で、林野火災合同訓練が実施された。
小樽市消防本部、消防団、小樽市産業港湾部、中央バス観光商事株式会社から49名が参加。指揮車、ポンプ車、救助工作車、救急車など7台が出動した。
この訓練は、林野火災被害に対する関係機関相互の協力体制の強化と火災防御技術の向上、市民に対する林野火災の予防意識を高め、防災意識の普及を図ることを目的としている。
「5月23日(木)10:30頃、小樽市天狗山1丁目天狗山スキー場で、行楽入山者の不始末と思われるタバコ火が枯草に着火。折から続いている異常乾燥と強風により、火勢が付近草地を一気に襲い、飛び火により火点が分散。同時に多発火災へ拡大し延焼阻止の必要に迫られている」との想定で実施された。
中央バス職員2名が参加し、場内アナウンスで火災の発生を知らせ、119番通報した。小樽市産業港湾部農政課職員が、パトロール中に怪我人1名を発見し救出。怪我人を下山させ、救急車で搬送された。
サイレンの音が鳴り響き、現場に消防車輌が到着。消防隊は10~15ℓ入りのジェットシューターを背負い、歩きにくい斜面を駆け上った。タンク車からホースが引かれ、消防隊がホースを背負い火災現場まで運び、一斉に放水し火を消し止め、訓練は終了した。
天狗山ロープウエイ乗り場前で、参加者が整列し、訓練の講評を述べた。
小樽市産業港湾部・佐藤誠一部長は、「近年森林は、多くの人に親しまれ、入山者が増加の傾向にあるが、一方で、森林が火災の危険にさらされる度合いがさらに大きくなっていることを意味する。そのため、入山者の理解と協力が必要。各関係機関との協力の下、林野火災の防止に努めなければ、自然を守ることはできない。
小樽市の森林面積は16,200ヘクタールで、行政区域の67%を森林が占めており、まさに山に囲まれた町。林野火災の多くは、タバコ、焚き火の不始末など人為的な原因が多く、残念なことに、昨年は、銭函で1件の林野火災が発生している。訓練を見学し、迅速な消火活動や救助活動に、より力強いものを感じた」と講評した。
また、同消防本部青山光司消防長は、「日頃の訓練の成果と関係機関相互の連携による当訓練の目的が達成でき感謝する。今年は大雪。雪解けが遅く、まさにこれからが、林野火災が発生する季節となる。火災が発生すると甚大な被害となり、迅速な対応が必要となる。万が一の場合は、合同訓練の成果を遺憾なく発揮し、被害を最小限にとどめるために関係機関の協力体制が必要と考える」と述べた。
市内では、雪解けが遅いこともあり、まだ入山者は少なく、今年に入ってからの林野火災は発生していない。昨年4月に銭函で原野20アールが焼ける火災が発生している。関係者は、今後、行楽シーズンを迎え、入山者のマナーや林野周辺住民の防火意識の高まりを期待していた。