天狗山近くの静かな自然に囲まれた高台にある高野山真言宗・準別格本山天狗山・金比羅大本院(松ヶ枝2)では、7月9日(火)・10日(水)の2日間、例大祭が行なわれた。
2日目の10日(水)13:30から、「柴灯大護摩法要(火渡り)」が行なわれた。祭りの大きな恒例行事となっており、地域の住民や遠くは釧路からの信者らが集まった。
「こんぴらさん」の愛称で親しまれる御本尊の名は、「金比羅大権現」と言い、江戸時代中期に全国へと信仰が広がる。海上交通の守り神として信仰され、漁師、船員など海事関係者の崇敬を集めている。現在、4代目秋山宥澄氏が住職を勤める同寺院は、大正15年に小樽に建立。当時盛大に遷座法要(御本尊を移動する際に行なう)が行なわれた。
「柴灯大護摩法要(火渡り)」は、秋山住職をはじめ、市内や北見からの僧侶14名が出席。無病息災、商売繁盛、交通安全、五穀豊熟、海上安全、厄難消除等を祈願し開かれている。
朝からの雨も止み、好天となった会場には、蒔を積んだ上に檜の葉枝で覆われた柴灯護摩壇が準備され、参拝者らが取り囲み見守った。法螺貝の音色とともに、僧侶が入場。僧侶の読経と、法螺貝の音が響き渡った。祈願を込めて僧侶らの手で点火後、バリバリと音を立てて、勢い良く燃え上がり、瞬く間に火柱が上がり、火の粉が舞った。納め札も投げ込まれた。
暫くすると、炎は小さくなり炭となり、僧侶は渡り易いように慣らし、火渡りが始まった。僧侶の後に信者や参拝者が続き、冠を頭に付け金の御幣を持ち、黒く煙が立った炭の上を素足で「南無金比羅大権現」と唱えながら、それぞれの願いを込めて歩いた。
今年で3回目の札幌からの男性や、一度は火渡りを体験してみたかった女性、毎年の恒例行事となっている地域の住民などが、無病息災などを祈った。
秋山住職は、「天候が心配だったが、晴れて良かった。以前は、漁師や海に関係している人が多かったが、いろいろな人が祈願に来ている。年々、参加者が少なく、残念に思う」と話した。
火渡りを終えた後は、本殿横広場で、餅つきが行なわれ、つき立ての餅が汁粉や黄粉で振舞われた。ステージでは、宝来ひょっとこ踊り保存会による「ひょっとこ踊り」が披露され、餅を味わいながら楽しんでいた。