小樽市総合博物館(手宮1)では、企画展「ドイツ製鉄道模型メルクリンについて」を、9月1日まで開催している。
8月24日(土)13:30から14:30まで、本館・企画展示室で同企画展の展示中の模型について、佐藤卓司学芸員のギャラリートークやデモンストレーション走行を行った。家族連れや鉄道ファン40名が来場し、精巧に出来た鉄道模型の数々や間近で走行する様子に見入っていた。
昨年(2012年)、札幌の荒谷正雄氏が趣味として収集した貴重な鉄道模型の寄贈を受け、同館収蔵の模型と合わせて300両を公開している。メルクリン社の鉄道模型は、1960年から1990年のコレクションを展示。鉄道模型カタログや、荒谷氏がドイツで撮影した鉄道模型の工房の様子を映像で上映。当館所蔵のNゲージ、HOゲージを展示し、鉄道模型の仕組みやC57形蒸気機関車模型もあり、鉄道ファンにはたまらない企画展となっている。
荒谷氏(1914年ー1996年)は札幌に生まれ。札幌交響楽団初代常任指揮者で、札幌音楽院を設立し、札幌でコンサートを開催し音楽活動に貢献した。1936年(昭和11年)にヨーロッパへ留学。音楽の修行中に同社の鉄道模型に出会い、入手し持ち帰った。日本へ帰ってからも収集が続いた。1990年頃、自宅屋根裏に同社のレイアウト集を参考に作ったレイアウトを、同館企画展示室の中心部に再現。HOゲージを使用し、縮尺87分の1の鉄道模型が、1周10mの線路を走行。
来場者は、回りを取り囲み、ビデオやカメラで撮影したり、目の前を通過する電車に手を振る子どもの姿も見られ、間近で鉄道模型を楽しんだ。また、参加した子ども達は、模型の走行速度を調整するレバーを動かし、速さを操縦し楽しんだ。
メルクリン社は、1859年創立のドイツ製鉄道模型メーカー。ドイツをはじめ、スイスやオランダなどの鉄道模型は、精巧な作りで50年経った今でも走行可能。ワニのクロコダイルに似ている車両など個性のある車両が多く、文字を書き入れたり手を加えることがなく、走らせるための模型ということも特徴。日本には馴染みの無い外国のドイツ、スイス、オランダなどの車両が多い。寄贈の中で一番古い車両では、50年前の蒸気機関車を展示。貨車、客車、ディーゼル機関車、電気機関車などを会場に公開している。
また、展示中の80年前の新幹線「レールツェッペリン」の模型を走行させた。この車両は、実用には至らなかったが、航空機用エンジンを搭載したプロペラ駆動で走行。1931年の試験で、時速230kmを記録している。同模型は、車両後部にプロペラが付いていて、勢い良く回り、レール上を力強く走行し注目を浴びていた。
佐藤学芸員は、「高価で立派な名品の模型の数々が、一同に並ぶことはめったにないこと」と話した。
札幌在住の河合優志君(13)は、「鉄道全般が好きで、子どもの頃から博物館へ来ている。今日はこの企画のために来た。同社の模型は凄く長持ちするのだと思った。Nゲージは、広い所がないと使えないので、会場で楽しんだ」と満足した様子だった。
なお、8月25日(日)も同会場で、13:30から同企画展のギャラリートークを開催。企画展「鉄道模型の世界」は、9月1日まで開催。
◎メルクリン(wikipedia)