小樽の街を縫って流れる勝納川の秋色が深まる中、10月に入り、鮭の遡上する姿が次々と見られるようになっている。
川面には鴨の群れが泳ぎ、水中では鮭が、遠路を旅してようやく辿り着いたこの最終地点で、産卵を終え、その一生に幕を閉じる。ここ小樽の街中で鮭の遡上が、ゆっくりと観察できる場所は、真砂橋~真栄橋の両岸の散策路が最適だ。
勝納川は、奥沢水源地から奥沢・真栄・勝納地区を縫って流れ、小樽港に注いでる。川の沿線周辺には、かつて酒造や工場が立ち並んでいたが、近年になって酒造や工場も廃業になり、住宅街が広がっている。住宅地の真ん中で、鮭の遡上が見られるのは、小樽の自然の豊かさの証しでもある。
南樽市場に来た買い物客も、この自然の風物詩をゆっくりと楽しんでいる。土産の海産物を買いに来た東京からの観光客は、「こんな目の前で、サケの遡上が見られるなんて本当に感激した。タクシーを待たせたままでも見る価値が十分にある。東京では見ることの出来ない光景で、小樽に来て本当に良かった」と興奮気味だった。
小樽の秋の風物詩のひとつの鮭の遡上が終わると、小樽の街には、冬の足音が近づいてくる。