"ホッチャレ"で命の循環を学ぶ おたる水族館


hottyare1.jpg 秋も深まり、小樽市内の於古発川にも鮭の遡上が見られる季節となった。おたる水族館(祝津3)では、10月19日(土)から、遡上した鮭「ホッチャレ」を展示し、ホッチャレと自然の関わりについての話やバッグヤードツアーを開催した。
 この企画は、科学技術コミュニケーション推進事業「ネットワーク形成地域型」CISE(ちせ)ネットの構築を目的とした事業の一環。札幌・小樽・石狩・北広島の4つのエリアの動物園や博物館、図書館などが協力し、写真や映像だけではなく、実物を用いて学ぶ環境を整えようと、2012年7月に発足。北海道大学総合博物館内に事務局がある。サケサイエンス・テーリング2013「サケ博士になろう!」をテーマに、札幌市円山動物園・いしかり砂丘の風資料館・札幌市豊平川さけ科学館などを会場にイベントが開かれている。
 おたる水族館では、10月19日から、「ホッチャレ」コーナーを設け、豊平川さけ科学館の遡上したサケを展示。それに合わせ、同日、サケにまつわる話や普段見られないバックヤードからの生き物を観察した。
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 9:30に同館1階売店前に、あらかじめ申込みをした参加者が集合し、同館総務課の古賀崇氏が案内役を務め、最初に、展示中のホッチャレ水槽前で、サケについて解説した。「ホッチャレ」とは「放っちゃれ」が語源と言われ、産卵のために川に上がったサケや産卵後のサケを呼ぶ。
 サケの生態は、「川で生まれ、じゃりなどの中に上手く潜った卵が生き伸びることができ、川の中の水生昆虫を食べ、冬の間に成長。春には海へ下る。沿岸を通り北へ移動、オホーツク海を生活域としてオキアミ類を食べ30〜40cmに成長。アラスカ湾まで回遊し成長を続ける」と話した。
 また、サケと回りの生き物との関わりについては、「外敵が多く、川では、イワナ・オショロコマ・ヤマメ・ニジマスなどがサケの卵を食べ、ハナカジカも好んで食べる。水鳥も外敵。海では、トドやアザラシ、イルカ、ネズミザメなど外敵が多く、川へ戻れるサケは3%ほど。hottyare3.jpg川へ産卵のため遡上したサケは、熊やキツネ、オオワシなどが狙い、まぬがれたサケは川で産卵し一生を終える。サケの死骸は、熊などにより森へ運ばれ木々が吸収する。食べ残しや糞が、植物を育て豊かな森を作り出している。『ホッチャレ』は、海と森の命の架け橋として、生命の循環に重要な役割を果たしている」と話した。
 バックヤードツアーでは、飼育研究室へ行き、デンキウナギやネコザメの卵の殻などを観察した。館内の展示水槽の裏側へ侵入し、サケの仲間のイトウや10cm以内のサケにえさを与え観察。「距離や方向、速さを同じにして泳ぐと群れができ、身を守っている」と説明した。また、チョウザメはサケと同じ、遡河回遊魚(そかかいゆうぎょ)で、サケは一生を終えるがチョウザメは生き続けるなど、様々な魚の生態を知る貴重な機会となった。ネコザメで鮫肌を体験し、ウニやヒトデ、ナマコに触れるなど、参加者は興味深々の様子だった。
 2回目11月2日(土)も、同イベントの開催を予定している。
 ホッチャレ展示&サケ・バックヤードツアーの案内
 ちせねっとわーく