本をモチーフのアートの数々!ブックアート開催中


 今年も10月17日から、市立小樽文学館を皮切りにスタートした「おたるBook Art Week 2013」が、市内7ヶ所で始まり、本をモチーフに様々な作家の個性溢れる発想が、見る人を驚かせ楽しませている。

 2011年に最初に小樽で開いたカフェ&フラワーショップ「ヴェールボア」(住吉町11・森義仁オーナー)でも、小樽、道内、京都の7名の作家の約20点を展示。同店のフラワーアレンジメントとガラス作家で妻の森智清さんも仲間入りした。個性的な作品が並び、手にとって見ることもできる作品もあり、店内のカフェスペースでお茶を飲みながら楽しむこともできる。
 山本桃子さんのランプにアロマオイルを垂らし香りを楽しむ作品や、実物のアゲハ蝶とトレーシングペーパーを本に見立て、大きな蝶を作り出した「蝶の時間」。
 最上朋香さんは、札幌在住で、劇団所属の役者でもあり、2011年に切絵を始めた。ハサミ1本で仕上げ、自画像や様々な人物の目の部分を切絵にした「EYES」。ページをめくり次々と現れる目に想像が膨らむ。
 森智清さんの作品は、「オタルナイの海」とガラスで文字が書かれ、透かしてみると和紙の色合いなどから、海の水面が見えるようにイメージした作品。カラフルな色彩の小さなジャバラ式の絵本も展示している。
 森オーナーは、「ブックアートは、各店舗、基本的に入場無料で、気軽にアートを楽しみ、触れる機会になっていると思う。今回は、開催する店舗が同じ期間に拘らず、都合に合わせてそれぞれ開始日を決めている。今後も継続する方向で進めたい」と話した。

 天狗山の麓にある古民家の「Cafe菜はな」(最上1)では、現代美術作家の小林雅子さんの7点を展示している。小林さんの作品を選んだ理由は「同店でいつも展示している工芸以外のものと思い、現代美術作家の専門的な作家の作品を選んだ。子どもの頃好きだった本を使い繊細にできている」と話した。
 今年8月、東京で開かれた「THE LIBRARY 2013」で発表した4作品の展示は、子どもの頃に読んだ大切なものをコンセプトにしている。『若草物語』の本を切り抜き、ストーリーに合わせて4姉妹の部屋を作ったもの、『銀河鉄道の夜』では、本の中から電車が飛び出している。アンデルセン童話『白鳥の王子』から、ページを撚ってセーターを編んでいる。11人の王子の魔法を解くために、セーターを作った話で、最後の王子の片袖のないセーターを作品にしている。今回のための2点の新作は、『ライ麦畑でつかまえて』と『ライオンと魔女』から製作している。
 菜はな・蛭田昌弘店主は、「ブックアートは小樽では、触れる機会が少ないが、ここへ来て真新しく触てみるきっかけとなり、文字ばかりの本よりも触れやすく楽しんでもらいたい」と話した。
 bookart1.jpg 11月5日(火)、ブックアートの仕掛け役である足利市立美術館の篠原誠司学芸員が、同店に来店中だった。篠原氏は、ブックアートとの出会いは20年前となり、1994年に東京で始まり現在も継続している。小樽開催のきっかけは、洋食台処なまらや店主の妻でイラストレーターでもある宮澤英子さんとの縁で、小樽での第1回目を「ヴェールボア」で開き、参加店舗を増やし、今年3回目の開催となった。古民家の菜はなさんの店舗のモダンでレトロな雰囲気が気に入り、昨年のブックアート時は、上川郡清水町の酪農家兼絵本作家・洞内由紀子さんの写真集と絵本を紹介していた。
 THE LIBRARY 2013
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