待ちわびた春! 祝津の鰊御殿オープン


nishingoten1.jpg 祝津の高台に建つ「鰊御殿」が、4ヶ月の冬眠期間を経て、4月5日(土)9:00から開館し、待望の観光シーズンがいよいよ始まる。年間2万人以上の来館者が訪れる、小樽観光の人気スポットとなっている。
 昨晩から春の雪が降り、日中は強風が吹き荒れるあいにくの空模様となった。それでも、開館を待ちわびた市民や観光客らが訪れた。
 5日(土)・6日(日)の2日間、入館者を対象に、11:00頃から、限定50食で鰊の三平汁を振舞われた。来館者は、湯気の立つ三平汁に舌鼓を打ち、鰊漁の最盛期に、沢山の漁夫がこの番屋で生活した当時に思いを馳せていた。
nishingoten2.jpg 鰊御殿は、1897(明治30)年に鰊漁で栄華を極めた初代田中家当主・田中福松が西積丹の泊村に建てたもので、1958(昭和33)年に1カ月がかりで解体し、トラック50台で現在の位置に移築した。
 建物は、一切釘を使用せず、継ぎ目のない長い木材を使用していたため、その頃の道路状況により夜間に搬送した。復元には50日を要し、延べ2,000人が動員され、現在の地にその姿が甦った。
 1960(昭和35)年には本道の民家で、初めて「北海道有形文化財鰊漁場建築」として指定された。建物は北海道の木材が主で、とくに梁については、当時も探し出すのに苦労したといわれた北海道の広葉樹タモ材が、ふんだんに使用されている。
 館内に入ると、「親方」と「雇い」として使われていた「漁夫」(鰊漁労務者)の境界の土間があり、正面のショーケースには「北前船(きたまえぶね)」が展示されている。

 漁夫の「たまり場」には囲炉裏があり、天井は吹き抜けで、宴会時には囲炉裏から出た煙りが太く長い梁に絡みつくように「もくもく」と上がるのを、親方が満足げに見上げていたという。
 「へげ」「こまざらい」「ポンポン」などの仕事道具や、家宝などをしまう「隠れ部屋」や、まるで「かいこだな」のような三段ベッドがある。これは「寝台(ねだい)」といわれ、最盛期には100名を超える漁夫が、この母屋で寝起きしていた。この寝台にも暗黙の定めがあり、身軽な若い者は上段の2・3段目、そして年配の者は下段という習わしがあったという。
nishingoten3.jpg 同館は、現在、指定管理者制度を導入しており、株式会社小樽水族館公社が管理を行っている。4日の開館に合わせ、2日前から館内の掃除等を行い準備をした。当日朝に、ぬか鰊と、じゃがいも・大根・人参・長ネギを使った三平汁を仕込んだ。三平汁は、ぬか鰊の塩を活かした塩仕立て。
 岩見沢を今朝8:30頃出発して来樽した40代の2人連れの女性は、「小樽に日帰りで遊びに来た。初めて鰊の三平汁を食べてとても美味しかった。鰊も食べやすかった」と満足していた。館内を見学をしたり、半纏を来て写真を撮影したりと楽しんでいた。
 周辺にあるおたる水族館でも、海獣公園のショーが中止となるほどの強風が吹き荒れ、悪天候の開館初日となった。
 小樽市鰊御殿(祝津3-228) 0134-22-1038
 4月5日(土)〜11月24日(月)9:00〜17:00(10月16日以降〜16:00)
 入館料:大人300円・高校生150円・市内在住の70歳以上150円・中学生以下無料
 小樽市鰊御殿