言葉だけの世界 "ストーリーテリング"入門講座


 だれもが本に親しめる環境にと、「たるBOOK」(中川めぐみ代表)では、5月18日(日)9:30から、小樽市民センター (色内2)2階1・2号室で、第1回目の「ストーリーテリング(語り)」入門講座(全2回)を開き、興味を持つ市民17名が参加した。
storytelling1.jpg 主催する「たるBOOK」は、市内で読み聞かせボランティアを行う12名が立ち上げ、小樽市民だれもが本に親しめるように本の出会いを作るなど、本をルーツにまちづくりを進めることを目的としている団体。”「いつても・どこでも・だれもが本好き小樽の町」宣言~2014″事業は、平成26年度小樽市ふるさとまちづくり協働事業に採択された。
 今回は、同団体の初めての活動として開かれ、札幌おはなしの会代表の平野美和子氏を講師に迎え、人の声で話をする「ストーリーテリング(語り)」について、2時間の講義が開かれた。
 平野氏は、子育てを通じて絵本と出会い、読み聞かせに携わり20年の経験を持つ。札幌市内や道内各地で、幼児から大人まで語りでお話を届けている。
 ストーリーテリングとは、物語を、絵本などを使わずに、人の声だけて話をするもので、言葉だけの世界で物語を伝える。日頃、想像することが薄れているが、語りには想像する力をつけ、痛みや辛さが分かり、楽しみにも繋がり、直接、聞く人の顔を見ながらコミュニケーションを取りながら語ることができる利点がある。
storytelling2.jpg 講義の中では、まず、聞くことから始め、平野氏によるストーリーテリングの手本を見せた。感情が込められた声でいくつかの語りを披露し、聴講者は、想像の世界へ引き込まれていた。平野氏は、「語りからコミュニケーションが生まれ、楽しい世界を分かち合いたい思いで語っている」と話した。
 また、「ストーリーテリング(語り)」の歴史にも触れ、祖父母が囲炉裏端で話す昔話も含まれている。中には、参加型の語り方として、聞く人達を巻き込む、同意のポーズや歌を交えた語りを参加者も一緒に実践した。
 語りに向く内容については、「言葉で想像できるもので、複雑な構造ではなく、単純で話の筋が通っているもの。表現が簡単で、繰り返すものや登場人物が少ないもので、最初は、昔話から語ると失敗がない。昔話は、素朴ですっきりとまとまっている」と説明し、具体的な物語をいつくか披露した。
 注意点としては、「絵本の中で、絵が多くを語っているものを、言葉だけで語ろうとするのは大変」と話し、実践する上での的確なアドバイスがあり、有意義な時間となった。
 市内在住の石田沙代さんは、「伝えることと伝わることの違いを、自分自身の勉強のために参加した。6歳の娘にも、どう読み聞かせをしたらよいのだろうと思い、ストーリーテリングとして伝えてあげたいと思う。とても勉強になった」と話した。
 次回は、6月22日(日)に第2回目を予定している。読み聞かせのリストなども紹介する予定。