"管内経済持ち直し" しりべし経済レポートVol.72


 財務省北海道財務局小樽出張所(港町5・岡田一則所長)は、「しりべし経済レポートVol.772」(平成26年4月~6月期)をまとめ、8月20日(水)に発表した。
 同レポートは、総括判断として、前回(平成26年1月~3月)判断に引き続き、「管内経済は持ち直している」とした。
 「個人消費」として、衣料品や家庭用品などの主要小売店売上高動向では、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見られた。飲食料品は回復の兆しが見られ、米やアルコールなどは、前年を上回ったところもある。母の日ギフトも売上好調だった。また、新車登録台数動向でも、消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見られるが、新型車投入効果が見られ回復しつつある。
 「観光」では、主要観光施設入込客数を見ると、6月は天候不順の影響があるが、東南アジアや台湾を中心とする外国人観光客が好調。修学旅行生は引き続き減少が見られ、国内客は伸び悩み。観光において将来的には、団体客が個人客としてリピーターとなるよう期待する。今後、朝ドラ「マッサン」の放送や小樽あんかけ焼きそばB-1グラプリ初出店の効果に期待する。
 「住宅建設」では、新設住宅着工戸数では、持ち家、貸家等、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動から減少、前年を下回った。
 「公共工事」では、公共工事前払金保証請負金額で見ると、前年を上回った。東北や札幌中心に人手が流れる傾向があり、人手不足や建築資材価格の上昇や機材の不足が見られ、契約後の工期内での完成が危ぶまれるなどの不安の声がある。
 「生産」では、ミガキニシンは例年並み、生コンは総体で例年並みとなった。
 「漁業」では、水揚げ量は不振が続くが、ホッケやナマコなど高値で取引され、水揚金額は、前年を上回った。
 「貿易」では、輸出・輸入ともに前年を下回る。輸出は、ロシア・中国向けに自動車部品が増加。ロシア向けの中古タイヤが減少。輸入もロシアからのカニなどが減少した。
 「金融」の資金需要動向では、管内金融期間の貸出金残高は、設備資金は前年を上回り、運転資金は低調なことから、総体では前年を下回った。
 「雇用」では、有効求人倍率では、求職者数が減少し、求人数が増加した。新規求人数は、医療、福祉、宿泊、飲食サービス等が増加している。幅広い業種で人手不足が広がっている。引き続き、技術系や資格取得者などの専門職が不足。飲食サービス業や小売業では、人の移動が激しい。
 「企業倒産」では、4月に5件、5月に1件あり、原因は他社倒産の余波が4件と多く、販売不振が2件だった。件数・負債総額ともに前年を上回った。
 「漁業」では、水揚金額が前年を上回ったことから、前回との比較から上方修正。
 一方、持ち家、貸家ともに前年を下回り、企業倒産は件数、負債総額ともに前年を上回ったことから、住宅建設と企業倒産については、下方修正した。その他、個人消費や、観光、公共工事、生産、貿易、金融、雇用については、据え置いている。
 これらを踏まえて、今期の総括判断として、「管内経済は持ち直している」とし、前回との比較は据え置いているとした。
 北海道財務局HP(小樽出張所)