おたる水族館(祝津3・伊勢伸哉館長)では、開館40周年を記念して特別展「海の王者 鮫」を4月26日から11月30日までロングランで開催し、多くの来場者で賑わっている。
特別展に関連し、9月14日(日)、北海道大学・仲谷一宏名誉教授を講師に招き、鮫についての特別講義を開講した。
仲谷氏は、鮫の研究を半世紀にわたり続け、サメ研究の世界的権威。同館では、4年前に「サメのよもやま話」を講演し2度目となる。13:00から、同館会議室でサメについての話を、14:00から、正面玄関横展望園地でネズミサメの解剖教室を開いた。
鮫に興味を持つ市民や学生60名が、会議室に集まり、サメの形や生態・謎について40分ほどにまとめた講義に耳を傾けた。
鮫は500種類あり、8つのグループに分け、大きさや背びれ・尾びれ、口など基本的な部分について説明した。
最小のサメは23cm、最大のサメは15mもあり、様々なサメがいて大きさに違いがあると紹介。古代のサメとの違いにも触れ、サメの顔は、先端部にあったが、現在は、頭の下にあり、顎骨が短く(小さく)なり、筋肉が発達し、感覚器官がより鋭くなったことを意味していると説明。
また、エラ孔については、6〜7個あるものもあり、大部分は5個で、呼吸に使った水を出す役目と、水と一緒に餌を吸い込み、5番目のエラから水を出す特殊な使い方があり、効率よく水を流すようエラが大きくなったと紹介。尾びれは、前進するためにプロペラの役目をし、上下にコントロール。尾びれの使い方にもそれぞれに違いがあり、いろいろな形がある。それぞれに意味を持ち、生活に必要な形となり、その謎を明かすことにより生態が分かると話した。
その後、正面玄関横展望遊園地へ移動し、7月に気仙沼で水揚げされた全長2m49cm・体重170kgのネズミザメのメスを使い解剖教室を開き、子どもから大人まで約150名がネズミザメを取り囲んだ。
はじめに、仲谷氏は、サメの頭部や胴部・尾部を計測し、頭の先端から口、鼻の穴や瞼のないことなど、細かく説明した。サメの歯についても触れ、歯は何列にも並び、トゲのある歯で、内側からどんどん生える。鮭などの餌をちぎって食べる強い歯であることを説明した。5つあるエラや、胸びれ・腹びれ・背びれなどを説明し、サメ肌を参加者は触って確かめた。
その後、同館職員が仲谷氏の助手となり、解剖を始め、その部位について解説した。まず肝臓を取り出し、その様子を参加者は間近で見守った。解剖教室は1時間20分ほど続き、解体したサメの皮などを希望者に切り分け、持ち帰った参加者もいた。
札幌から訪れた家族は、「初めてサメの解剖を見て、びっくりした。めったに体験できないので、とても良いイベントだと思う」と話した。
◎おたる水族館HP