高齢者への防火の集い 地震と津波の講演会


silverfire1.jpg 高齢者の火災被害を軽減するために、「平成26年度ふれあいシルバー防火の集い」が、9月16日(火)10:00から11:30まで小樽市公会堂(花園5)大ホールで開かれた。
 小樽市シルバー連合防火クラブ会員約70名が参加し、北海道大学大学院理学研究院付属地震火山研究観測センターの谷岡勇市郎教授を講師に迎え、「地震と津波の傾向と対策について」の講演会と、小樽市消防本部予防課・阿部博康予防係長が、「小樽市の住宅火災報知機設置率の現状」について話し、防火・防災に対する意識を高めた。
 小樽市消防本部と小樽市青少年婦人防火委員会が主催する同会は、1992(平成4)年に開催した小樽市シルバー連合防火クラブ第1回大会を前身とし、1995(平成7)年から毎年開催し、今年で21回目となる。
 「本市においても高齢化が急速に進み、火災や災害の発生により犠牲となる高齢者の増加が予想される状況を踏まえ、高齢者世帯の自主防火・防災体制の確立、高齢者相互の連携協力による防火思想の普及啓発を推進する契機となること」を目的としている。
 講演に先立ち、飯田敬小樽市消防長は、「火災予防や防災に関して協力をいだたき、各町会の防火の取り組みや老人クラブの活動を通じて、高齢者相互の連携協力による防火思想の普及実践など、火災による高齢者の被害の低減に大きな役割を果たしている。
silverfire2.jpg 昨年は、全国で4万8,000件ほどの火災が発生し、このうち住宅火災は1万3,621件。住宅火災で亡くなられ人は997人で、本市では、昨年、住宅火災で死亡した人はいない。死亡原因においては、逃げ遅れが562人、着衣着火が55人と、約6割が逃げ遅れが原因となっている。
 住宅火災で死亡した人のうち、65歳以上の高齢者が約7割を占め、高齢者を火災から守る対策が全国的に求められている。本市の消防本部としても、火災の早期発見に大きな効果が期待できる住宅用火災報知機の設置や防炎品の普及など、高齢者の安全確保に全力で取り組みたい」と話した。
 谷岡教授による「地震と津波の傾向と対策について」の講演会では、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)による津波について、地震と津波の発生のメカニズム、日本海側で発生する地震の特徴や、小樽市の津波や地震の影響について1時間ほどの講演が行われ、参加者は、熱心に聞き入っていた。
 その中で、「東北地方太平洋沖地震は、長さ500km・幅200kmにわたる巨大地震が起こり、津波が発生し、三陸沿岸では、津波の高さはばらつきがあるが、一番高くて40mの津波を観測し、北海道襟裳町で5mの津波となった。5mを超えると被害に繋がる」と説明した。
 また、全国の地殻変動を監視したGPS国土地理院による図を見せながら、地震や津波が発生するメカニズムについても解説。「日本中どこでも起こり、海洋プレートが陸のプレートの下に沈みこんでいるため、陸地の圧縮により、日本各地で様々な地震が発生し、大きな地震が繰り返し起こっている。太平洋プレートは、年間8cm移動し、400年に1度にM9クラスの地震が怒る可能性がある。津波の伝わる速さについては、深いほど早く伝わり、5,000mで時速8,000km、500mで新幹線と同じ速さ、浅くなると高さが大きくなり、沿岸では高い津波となり、推進50mを超えると津波の高さは小さくなり、地震発生後、船は沖に避難していた」と話した。
silverfire3.jpg 1993年北海道南西沖地震にも触れ、津波が火災を引き起こし被害が拡大したことを強調した。1983年の地震により津波への認識はあったが、老人・子どもを避難させ、貴重品を取りに戻り被災している例が多く、避難後は、警報が解除するまで、戻らないで気をつけるよう伝えた。
 さらに、1741年渡島大島噴火をあげ、大量の土砂の影響で津波が起こり、大災害となった特殊な例を紹介した。
 今後の対策として、国土交通省などの「日本海における大規模地震に関する調査検討会」(平成26年8月26日)について触れ、海底の調査から断層を確認し、津波範囲を推測。小樽では3〜4mの津波が来ると想定。
 「日本海側では、太平洋側より津波到達時間が短く、大きな揺れを感じたらすぐに逃げることが大事。地震の想定が太平洋側に比べると難しいこともあり、めったにない大きな揺れを感じた場合は、高台へ避難するよう心がける必要がある」と話した。
 引き続き、「小樽市における住宅用火災報知機設置率の現状」について、阿部予防係長は、「火災の死亡者は6割が逃げ遅れ。時間帯では午前2時の統計が出ている。寝ている時間の死亡者を減らそうと、寝ている部屋に住宅用火災報知機の設置をしてもらいたい。他に、台所・居間へ設置するよう推奨している。設置率では、昨年までアンケート調査で76.3%だったが、今年の春から各家庭へ個別訪問する調査を行なったところ、68.0%となった。小樽市の設置率90%を超えるように、命を守るために周囲の人にも広めてもらいたい」と呼びかけ、設置の協力を募った。
 日本海における大規模地震に関する調査検討会
 設置して安心!住宅用火災警報器
 関連記事