実物の彫刻作品を学校で鑑賞 "出張アート教室"


syuttyoart1.jpg 北海道立近代美術館所蔵の美術作品を学校へ運び、生徒達が間近で実物を鑑賞する「出張アート教室」が、10月30日(木)の3・4時間目に、小樽市立向陽中学校 (天神1・黒川裕之校長)の1、2年生(64名)の生徒を対象に開かれた。
 同事業は、美術館等の所蔵品の有効利用を図り、児童・生徒に実物を見せながら、分かりやすく鑑賞の手ほどきを行うことを目的に、平成22年度から実施され、今年で3年目を迎えた。今年度は、近代美術館をはじめ、道立の旭川・函館・帯広・釧路美術館が、道内14校の小学校・中学校・高校・特別支援学校へ、分担して実施している。
 近代美術館は、石狩・空知・後志・胆振・日高の6校を予定し、向陽中が4校目で、後志管内では1校のみ。鑑賞する美術作品も、絵画や彫刻・版画など、学校が希望する作品を持参している。
syuttyoart2.jpg 同校生徒が鑑賞する作品は、北海道ゆかりの彫刻家・佐藤忠良の「演劇生」(1968年・昭和43年)のブロンズ像と、本田明二の「黒い首」(1953年・昭和28年)で、木製の抽象的な顔の像の2点が、同校2階・視聴覚室へ持ち込まれた。
 同校1年生29名が、3時間目を利用し、同美術館寺地亜衣学芸員が講師となり、持参した作品の作家について解説。「彫刻の見方」として、ブロンズと木の素材や手法、具像や抽象など、2点の作品の特徴を説明した。スライドを使いながら代表作品を紹介し、釧路市幣舞橋(ぬさまいばし)の野外に展示されている作品から、野外展示のメリット等を解説、彫刻作品の鑑賞の仕方を学んだ。
 生徒達は、作品を取り囲み、間近で作品を鑑賞。2点の作品を交互に見て特徴を見比べた。ブロンズ像には、直に触れることができ、指先で作品を感じ取った。
syuttyoart3.jpg その後、4つの班に分かれ、特徴や感じたことや疑問点などを出し合い、発表した。その中で、佐藤氏の作品は、悲しそうな表情、どのように細い線を出すのか、正面は男性に見え、後姿は女性だったなど、また、本田氏の作品は、ツルツルしていた、口がない、左右の目のくぼみが違ったなど様々な特徴を捉えていた。
 1年の鳥谷部龍也君は、「今まで作品を間近で鑑賞することがなく、美術館へもあまり行かない。触ることができたブロンズ像は、ツルツルしていた。とても勉強になった」と感想を述べた。
 黒川校長は、「生徒達に、本物に触れる機会を増やし、豊かな情操育成に繋がればとお願いした。音楽では、札響を聞きに行っている。学芸員さんも気づかないことを、子ども達が気づきびっくりした。今回、作品に触れ、今後、他の美術にも興味を持ってもらえると、目的が達成できたと思う」と話した。
 平成26年度出張アート教室の実施について