「シャコの生物学」 運河館でギャラリートーク


otarusyakotalk1.jpg 小樽市総合博物館運河館(色内2)では、企画展「シャコの生物学」を、10月4日(土)から平成27年1月9日(金)まで開催中で、 秋シャコの旬に合わせ、11月8日(土)13:00から、運河館・第1展示室で、ギャラリートークを行なった。
 同館山本亜生学芸員が講師となり、食材として親しまれているシャコを生物として捉え、興味深い生態等を紹介。シャコに興味を持つ20名が参加した。
 「ガサエビ」と呼ばれ、親しまれている小樽産のシャコは大ぶりで美味で、秋になるとイベントや料理店で、シャコを食材にした料理等で話題を集めている。ギャラリートークでは、そんなシャコを生物学的観点から探り、面白い生態や発見を紹介した。
 シャコは、甲殻類軟甲網トゲエビ亜綱口脚目シャコ科に属する節足動物の1種。
otarusyakotalk2.jpg 小樽では、昔から庶民の味として親しまれ、石狩湾周辺がシャコの漁場となり、収穫量は、1980年に300トンとピークを迎え、現在は90トン。石狩湾では、ほとんどが小樽で捕れている。外国では、東南アジアや地中海で食されている。
 小樽産のシャコは、体長20cmと大ぶりが特徴。シャコは成長しながら回遊し、食べ頃に小樽に辿り着くらしい。シャコ漁は刺し網で、海底に穴を掘り生息しているシャコは、シケの後に穴から出たところを捕獲される。刺し網では、小さいシャコは網に掛からず、20cmほどの大ぶりの立派なシャコが獲れる利点がある。
 シャコ漁は、5・6月の春漁と10・11月の秋漁があり、夏場は子どもを産んだり、脱皮の時期となる。エビやカニの遠い親戚となるシャコの仲間は450種あるとされ、外国に生息する鮮やかな色彩のシャコ等を画像で紹介した。
 シャコの脚に注目。色々な種類の脚があり、歩く・泳ぐ・獲物を捕らえるとなど、それぞれに役目を果たしている。口の回りにある顎脚は10本あり、そのうち補脚2本に鎌(カマ)がある。エビを捕まえたり、アサリなどの貝を腕力で割ることができる。腹肢は泳ぐためのもので、エラがあり呼吸している。尻尾も興味深く、尾扇にはトゲがあり外敵から身を守っている。
otarusyakotalk3.jpg 1988、89年に、海洋大学校が小樽でシャコの巣穴を観察。巣穴を樹脂で模ったものを、徳島大学教授の浜野龍夫シャコ博士から同館へ寄贈された。今回企画展で初展示され、その巣穴について解説した。シャコは、300mの海底に住み、巣穴を作り生息し、1匹ずつ巣穴に住んでいるという。
 参加者は、改めて知るシャコの生態に驚き、興味深く話を聞いていた。市内の女性は、「夏に小樽の岸壁でシャコを釣り、美味しくいただきシャコに興味を持った。シャコのイメージを変えたくて参加した。シャコの生態を改めて知り、可愛らしい目をしていて、食べられない」と話した。
 企画展では、山本学芸員が、今年の春に市内の市場で購入したシャコを標本にして展示。シャコの生態に触れる貴重な機会となっている。
 運河館小さな企画展「シャコの生物学」 平成27年1月9日(金)まで9:30〜17:00
 小樽市総合博物館(色内2)運河館・第一展示室 0134-33-1258
 関連記事