道ゆかりの文豪96人! 知られざる愉快なエピソード紹介


 ミニチュア粘土の「ちまちま人形」で知られる札幌在住のイラストレーター高山美香さんの愉快な企画展が、1月17日(土)から3月29日(日)まで、市立小樽文学館(色内1)で始まっている。
kitanobunjin1.jpg 朝日新聞に2011年から2013年の3月まで、96回掲載された北海道ゆかりの作家の生い立ちと知られざるエピソードを集めた、「北の文人・立ち話」の原画や創作メモを展示している。高山氏ならではの角度から作家の逸話を探し出し、おもしろおかしく紹介した文章が、来館者を楽しませている。
 今回の企画展に合わせ、各地の図書館等の協力を得て、紹介している96人の作家の本を2〜3冊ずつ展示し、作家の特徴をするどく捉えたちまちま人形11体と、掲載する作家について勉強し得た情報のメモや、関連記事・写真、エピソードを書き込んだ年表など、新聞社の制約を守りながら、すべて手書きのポリシーで綴った創作資料を展示。さらに、新聞連載に漏れた面白い作家のエピソードを集めて紹介している。
kitanobunjin2.jpg また、96人の似顔絵を消しゴムハンコに仕上げ、北海道地図上で、各作家のゆかりのある土地にハンコの顔を並べて展示するなど、高山ワールドがびっしり詰まった企画展となっている。
 イラストレーターの高山氏は、1969年札幌市に生まれ、札幌在住。平成16年から小さな粘土人形を作り、カフェを中心に展示会を開催。同文学館では、2008年にちまちま人形を中心に展示する企画展を初開催し、今年で5回目の企画展となるが、イラストを中心に集めたのは初めて。
 会場では、有島武郎について、読みたい本を買って帰り、表紙に蛇の絵がついていたため、遠くに投げた逸話と「生まれいずる悩み」や「或る女」の書籍を展示。
 伊藤整は、必ず旅に出かける時は、カバンの中に命綱を入れて出かけていたことや、旭川出身の井上靖は、百花繚乱の人生で、高校時代は、強豪校の柔道の主将だった。
kitanobunjin3.jpg また、盆踊り好きの石川啄木や、イケメンの岡田三郎、煮たなすびばかり食べていた宇野千代などなど。中でも傑作なエピソードは、不在町民の夏目漱石。一度も行ったことがない岩内の住所を、25歳から22年間、書類に書き続けていてそうだ。
 同館玉川薫館長は、「高山さんの企画展から小樽にゆかりのある作家をはじめ、北海道の作家を広く知ってもらいたい。北海道の魅力のひとつでもあり、市民をはじめ、ぜひ、北海道中の方々にも見ていただきたい」と話した。
 なお、2月8日(日)17:00から19:00まで 同館で、高山美香氏のギャラリートークを予定している。
 北の文人・立ち話 高山美香イラスト原画とエッセイ展 1月17日(土)〜3月29日(日)
 市立小樽文学館(月曜日・3月24日休館)
 入館料大人300円・高校生150円・中学生以下無料
 小樽文学館
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