道内最大規模?の隕石展! 総合博物館企画展


 様々な隕石を紹介する企画展「北海道唯一の沼貝隕石と小樽の隕石研究者」が、小樽市総合博物館(手宮1・相内昌幸館長)で、3月14日(土)から4月12日(日)の日程で始まった。
museumu-inseki1.jpg 90年前に沼貝町光珠内(こうしゅない・美唄市)に落下した北海道で唯一の隕石をはじめ、南極の隕石、さらに世界各地の隕石や月や火星からの隕石など154点を展示し、これまでの道内における隕石展では、最大規模かもしれない企画展となった。
 ロシア・ウラル連邦管区チェリャビンスク州付近に隕石が落下し、世界中を騒がせた2013年2月の翌月、市民が持っていた石が隕石ではないかと、同館に問い合わせがあり、同展を担当する大鐘卓哉学芸員が、小樽在住の隕石研究者・松枝大治氏(北海道大学名誉教授・南極の隕石の研究に携わる)に鑑定を依頼。
 その石は隕石ではなかったが、その時に、松枝氏が管理する隕石標本の中に沼貝隕石を見つけ、大鐘氏の探求心に火がつき、調査研究が始まり、小樽ゆかりの隕石研究者・早川和夫氏(1919-1993/小樽天文同好会会長、沼貝隕石を調査)と松枝氏の研究を通じ、様々な隕石を紹介する企画展を開催するに至った。
 早川氏は、1925年9月4日、沼貝町に隕石が落下した30年後に、美唄へ隕石調査に向い、目撃者だった田中勝さんの自宅の神棚にあった隕石を確認した。田中氏が95匁(356g)と測定している。すでに、1925年には、今井半次郎氏が20gを欠け取り、その部分は現在不明。幾人かの研究者が、沼貝隕石を切断したり分割していることから、多くの研究者によって調査されたことを物語っている。

 田中さんが1981年に美唄市郷土資料館に寄託した一番大きい281.35g(美唄市指定文化財)と、松枝氏が管理する北海道大学総合博物館蔵の6gと薄片、筑波大学木村研究室蔵の薄片(初公開)、国立科学博物館蔵の1.3g(初公開)と、16.5gの隕石を展示した。研究のために別離した隕石の小片が、この企画展で一堂に集結したのも見所のひとつ。
museumu-inseki2.jpg 沼貝隕石は、少なくとも3回は切断されたと考えられ、その切られた隕石が本体と合致するなど、隕石の履歴を調べ発表した。
 沼貝町光珠内に隕石が落下した当時、世間を騒がせ、小樽新聞や北海タイム、天文月報の記事を展示。隕石の落下日が、9月5日と間違って記載されていたが、昨年10月開催の国際隕石学会第77回大会で、9月4日と改めたことも紹介している。
 月や火星からの隕石やテクタイト(隕石が落下した際に地上の物質が融解し、固まったもの)、松枝氏の世界各地の隕石標本や南極の隕石なども多数展示している。
 沼貝隕石が美唄市以外で展示ができたのは、大鐘学芸員が隕石の研究を進めているのが認められたもので、沼貝隕石が美唄市以外で展示されるのは大変稀なことで、注目を集めている。
museumu-inseki3.jpg 大鐘学芸員は、「この研究を通じて、隕石の重さの記載に違いがあることが分かり、今後、調査を進めたい。北海道の人に、90年前に美唄市に落下した隕石だということを、企画展で、ぜひ知ってもらいたい。現在、天文教育の普及のために研究中で、この企画展後、研究報告にまとめる予定」と話した。
 朝里小学校3年の高橋舞衣さんは、「隕石について聞いたことはあったが、詳しくは知らなかった。初めて隕石を見て、重い物が落ちで来たらびっくりするだろうと思った」と興味を示していた。
 企画展「北海道唯一の沼貝隕石と小樽の隕石研究者」3月14日(土)〜4月12日(日)
 小樽市総合博物館(手宮1)2階企画展示室・火曜日定休
 入館料:一般300円・高校生・市内在住70歳以上150円・中学生以下無料
 ギャラリートーク「小樽からひも解かれた沼貝隕石の研究史」
 3月21日(土)10:30〜11:30 講師:大鐘卓哉学芸員
 ミュージアムラウンジ「南極隕石と日本の南極観測」
 4月5日(日)13:30〜15:00 講師:松枝大治氏
 隕石にさわろう!
 3月29日(日)・4月5日(日)・12日(日)13:00〜13:15
 小樽市総合博物館
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