海水浴客も見物! 向井流水法会遊法公開!

 海水浴シーズン真っ只中の8月2日(日)、東小樽海水浴場(船浜町)では、大勢の海水浴客が訪れる中、第25回向井流水法会(大原一会長)”遊法公開”が、10:00から行われた。
 同会小樽本部を中心に男女24名が参加し、400年も続く伝統の遊法を華麗に披露し、海水浴客から大きな拍手が沸き起こっていた。
mukairyuu1.jpg 向井流水法は、15世紀頃伊勢地方で生まれ、江戸幕府御船手の游泳の原形で、今日、我が国に残る日本泳法の12流派のひとつ。1916(大正5)年、向井流宗家直属師範・岩本忠次郎氏が、小樽水泳講習会の講師として来樽し、多くの門弟を育てた。それを受け継ぎ、小樽に向井流が根付いた。1991(平成3)年9月、小樽市の無形文化財第5号に指定されている。
 向井流の泳ぎは、元々戦い用の泳ぎ方で、素朴で無駄のない、体力の消耗を抑えた地味な泳ぎ。体を斜め前に少し倒し、踏み込む前足の裏と蹴り込む後ろ足の甲の働きを大切にした「踏み込みあおり」とういう独特の泳ぎ方をする。この特別な脚の使い方を学ぶため、横泳ぎの水府流太田派のあおり足を習得している。
mukairyuu2.jpg 10:00から、茨城県の水戸平野を流れる那賀川を中心に発展した「水府流太田派」の13の遊法から公開した。あおり足を用いた「一重伸略体」・「片抜手一重伸」、水面に伏せて泳ぐ「平体泳法」の「大抜手」などを披露した。
 400年も前に伝えられた水軍の活用する技術や方法、心得などを加えた船手の泳ぎを伝える「向井流水法」は、19の遊法を公開した。
 泳ぐ姿勢は、状況の変化に自由に対応できる体位を大切にして、目標から目を離さないのが重要。夜間など隠密的な行動のため、波や音を立てないように修練が要求された。
 水中で刀を渡す「太刀渡し」や、配膳(汁椀・飯碗・焼物皿・煮物小丼・香物皿・箸受け・箸)を持って、膳の脚が水面に触れぬように、汁椀の汁が濡れないように泳いで手渡す「配膳游」、足の指の間に扇子を挟み、旋回しても水に濡れることなく泳ぐ「扇子諸返し(せんすもろがえし)」の見事な泳ぎに、観客から拍手が沸き起こっていた。
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 最後は、太鼓の音に合わせ、雁が陣を組んで飛ぶように、9名が一斉に泳ぐ「抜手雁行」を披露し、1時間ほどで全プログラムを無事に終了し、大きな拍手が贈られていた。
 閉会式で、秋田優師範は「皆さんの泳ぎも年々上達している。今後も向井流の継承に尽力し、心強さを感じている。泳ぎも続けてもらいたい」と講評を述べた。
 遊法会終了後、同会会員らが、会場で海水浴を楽しむ子ども達と水遊びを行い終了した。
 熱心に見学していた市内の男性は、「歴史ある水泳は、やはり違う。ここでは、脚の動きが見えないので、今後、ぜひ斜め上から見てみたい」と感想を述べた。
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