為末元陸上選手 手宮小児童へ夢をテーマに授業

 日本製粉株式会社(本社:東京・小寺春樹代表取締役社長)が主催する「爲末大学食育学部」が、9月10日(木)9:00から、小樽市手宮陸上競技場(手宮2)で、小樽市立手宮小学校(末広町13・仲倉優校長)の高学年児童を対象に実施された。
 同事業は、2013年度から実施している特別事業。心身ともに健康になるためのきっかけを与えることを目的とし、これまでに全国各地で8回実施している。小樽での開催は、同社小樽工場が市内高島1丁目にあるため、小樽市への地域貢献も開催目的のひとつで、北海道では初めて行われた。
tamesuedaigaku1.jpg 元陸上選手の為末大氏と公認スポーツ栄養士のこばたてるみ氏を講師に迎え、「体育の時間」「話し合いの時間」「食育の時間」の3つの授業で構成された。
 天候が心配されたが雨も降ることもなく、5・6年生51名が、予定通り同競技場に集まり、市関係者や保護者もその様子を見守った。
 為末氏は、男子400mハードルの日本記録保持者で、オリンピックを3大会経験する有名なアスリート。現在は引退し、アスリートの社会的自立を支援する「一般社団法人アスリート・ソサエティ」代表理事を務める。さらに、2011年に、地元広島でランニングクラブ「CHASKI(チャスキ)」を立ち上げ、子どもたちに運動と学習能力をアップする陸上教室を開催。国内外で幅広い活動を展開中。
tamesuedaigaku2.jpg 1時間目の体育の時間では、走る姿勢作りや走り方を指導し、スタートフォームの練習も実施した。その後、ハードルを使って、自分にあった高さのハードルを体験。足の裏をゴールに向けて飛ぶようにアドバイスした。
 授業に参加した田口陽菜さん(6年)は、「この競技場は、運動会が行なわれた場所で、足が遅かったので、速く走る方法やハードルの飛び方などを教わった。陸上競技に興味が沸いてきた。為末さんは、ジャンプ力もすごくあって足も速くてカッコ良かった」と感想を話した。
 為末氏は、「バネがある子どもが多く、天性で陸上にも向き、なんらかのスポーツへの可能性がある。今後より良く成長してもらいたい。競技人口は減っているが、北海道の選手の活躍が著しい。今日は、自由にハードルを跳び、楽しんでもらうことが僕の役目。転んだり倒したりしても、前のハードルだけを見て走り、チャレンジすることの大切さを学んでもらいたい。多くの子ども達が自分で夢を見つけ、お互いに尊敬し合い、夢を持つことは大切だと感じている」と話した。
tamesuedaigaku3.jpg その後、同校体育館へ移動して、2時間目の「多様性を認める 話し合いの時間」が開かれた。「夢」をテーマに、グループで話し合い、自分の夢のストーリーを考え、具体的な数字を入れたり、夢の奥には何がしたいかを考え、夢を叶えた時に影響を与える人や反応なども盛り込まれ、大きな夢を発表し合った。パティシエやゲームクリエイター、ファンションデザイナーなど、将来の自分に夢を膨らませていた。
 為末氏自身の子どもの頃の夢に触れ、オリンピック選手と新聞記者になりたかったと語り、「夢の奥にある思いを考えるきっかけになればと思う」と述べた。
 3時間目は、講師のこばたてるみ氏も加わり、4年生23名も参加して「明日の体を作る 食育の時間」が開かれた。こばた氏は、食事の重要性を解説し献立を考える時のコツを紹介した。子ども達が考えた「運動会で活躍するためのお弁当」案について発表した。あらかじめ、考えた弁当が写真で1つ1つ紹介された。
 こばた氏は、公認スポーツ栄養士で、管理栄養士・健康運動指導。清水エスパルスや競泳オリンピックメダリストやプロ野球選手、箱根駅伝選手等のサポートを手がける。商品開発や料理番組出演など幅広い活動をしている。
 子ども達は、そのまま食べらる炊き込みご飯やいちごやキウイなどビタミンCを取り入れ、栄養価の高いひき肉やうなぎなどを使い、玉子焼きやトマトなど色どりを考えたり、バランスも良く楽しい弁当を考えた。
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 エネルギー源になる糖質をご飯やパスタ、かぼちゃや芋類を活用し、エネルギーを上手く作り出すためのビタミン類が必要で、疲労回復には、糖質とタンパク質を取り、緊張しても食べられるくだものやゼリーを入れても良いとアドバイスした。
 115年の歴史に幕を閉じる手宮小学校で、思い出に残る授業となった。
 爲末大学食育学部