商都小樽を読み解く! 総合博物館員が解説


 小樽市総合博物館(手宮1)は、現在開催中の企画展「商人たちの小樽」を解説するギャラリートークが、同館・菅原慶郎学芸員により、11月23日(月)14:00から、企画展示室で開かれた。
 北海道の発展に寄与した小樽の商人(あきんど)を切り口に、江戸時代から明治時代にかけて、広く商業活動に従事し活躍した近江商人・住吉屋西川家の同館所蔵の貴重な資料を展示公開し、商都小樽を読み解く企画展。
otaru-akindo1.jpg その展示物を前に詳しい解説があり、歴史に興味を持つ30名が参加し、当時の商都小樽に思いを馳せた。
 江戸時代の北海道は、大半が蝦夷地と呼ばれ、”場所”と言われたブロックで区切られ、アイヌと商人たちの交易の場となっていた。その交易をタカシマ・オショロ場所で仕切った(場所請負人)のが住吉屋西川家で、小樽を拠点に活躍した。
 ニシン、あわび、串貝(あわび)、数の子、トドやアザラシの皮など蝦夷地産品を送り、本州からは、米、酒、味噌、塩などが取引されていた。
 西川家の資料には、江戸時代には、「軽物(かるもの)」のクマの毛皮が取引され、小樽ではカワウソやタヌキが商品化されていたことが分かる。
 明治以降は、小樽堺町に小樽分店を、オホーツク海の北見枝幸や紋別に漁場を持ち、店を出した。総支店はオショロにあり、今回の企画展ではその資料を展示している。
otaru-akindo2.jpg 産品の変遷をオタルナイ・タカシマ・オショロに分け、表にしたものからは、産品の様々な特質が時代によって変わることを説明した。
 また、オタル・オショロ総支店分300点の資料の中の商店日誌では、小樽堺町分店・タカシマ・オショロ支店の17冊に及ぶ日記類がある。天気・気温・風向きなどや商品取引の状況に加え、住吉神社の祭礼の様子も詳しく記され、当時はまだ、祭の日程が定まっていなかったという。
 明治23年8月のオショロ支店では、余市郡との取引が一番多く、次いで、東京、滋賀の順であったことや多様な取引ルートが読み取れる。
 商人たちの取引が記録された帳簿では、ありとあらゆる日用品を取引し、明治19年滋賀県にある缶詰工場から、松茸の缶詰が小樽へ流れた。老舗旅館の越中屋や明治初期に開業した料亭の魁陽亭と取引があった。
 商人と関連深い、市内の倉庫にある「印」や「瓦」、「日本型帆船」についてもコーナーを設け、これらについても解説した。
 菅原学芸員は、「小樽の商人の生きざまを実際の物を見ながら感じてもらえればと思う」と話した。
 企画展「商人たちの小樽」11月29日(日)まで・9:30〜17:00
 小樽市総合博物館(手宮1)2階企画室
 入館料一般300円・高校生・市内70歳以上150円・中学生以下無料
 関連記事