美術のなかの"生きものたち" 市立小樽美術館


 市立小樽美術館(色内1)の企画展「美術のなかの”生きものたち”」が、1月30日(土)から4月17日(日)までの日程で、同館2階企画展示室で開催中だ。
0202artanimal1.jpg 北海道にゆかりのある作家21名が、馬や牛・犬などの動物を題材に、水彩・油彩・版画・彫刻・ブロンズ・絵本の原画など、多様に表現した作品42点を展示している。
 小樽の彫刻家・水谷のぼる氏の2点と倶知安出身の小川原脩氏の油彩5点は、新たな収蔵品で企画展では初めての展示となる。
 企画展関連事業「絵本とダンスのアニマルワールド」を2月13日(土)に開催するため、青年期を小樽で過ごした北海道を代表する画家・国松登氏の代表作・氷人シリーズ5点と小島真佐吉氏の小樽の景色をバックに牛を描いた3点を囲むように展示。
 作品を背景に、hinafetia代表・野口花代氏のダンスと札幌大谷短期大学保育科の伊藤梨々香さんと小林萌々子さんが、あべ弘士「エゾオオカミ物語」と方軼羣(ふあんいーちゅん)の「しんせつなともだち」の読み聞かせを行う。
0202artanimal2.jpg 国松氏が冬に根室を訪れた時に、流氷がぶつかりあう音で目を覚まし、外に出たところ、氷の中に立つ人物を見たことから氷人シリーズが生まれ、シルエットの人物が幻想的に描かれている。
 小島氏は、小樽に生まれ長橋に住んでいた頃、白い雪原に牛を見ていた。作品には、望郷の思いを込めて、優しい表情を浮かべる牛が描かれ、パステル調の色使いが印象的な作品。
 国松氏の作品のロマンチックな月あかりの中での海と氷の世界、小島氏の北海道らしい野生動物と北海道の厳しさをテーマとした作品からイメージした踊りが繰り広げられる。
 戦争では、沢山の動物が犠牲となり、反戦をテーマとした作品も展示している。水谷氏の「戦争の蛹」は、蛹(さなぎ)の兵士を整列させたインパクとのある作品で、戦争への憤りを伝えている。
0202artanimal3.jpg 小寺健吉氏の「中支戦線」は兵士が馬を労る姿を、竹部武一氏の「小休止」も兵士と馬が描かれている。
 小川原脩氏は、従軍画家として戦地に赴いた経験から、戦後は動物しか描かなかった。戦争を経験した内面の気持ちを動物が歪み合う姿と重ね、自分の悲しみ・孤独を表現した作品が並んでいる。
 小樽在住の絵本作家・かつやかおり氏のぞうや小鳥など優しい色使いの作品や、北の大地にたくましく生きる動物の姿を木版画にした手島圭三郎氏の作品なども展示している。
 同館・星田七重学芸員は、「動物が描かれている作品を集め、絵からは物語が浮かび、想像力を膨らませて楽しんでもらいたい。展示作品前で読み聞かせを初めて開き、ぜひ、親子で来場していただきたい」と話した。
 美術のなかの”生きものたち” 1月30日(土)〜4月17日(日)9:30〜17:00(最終入館16:30)
 雪あかりの路期間2月6(土)・7日(日)9:30〜20:00(最終入館19:30)
 祝日を除く月曜日・2月16日(火)・3月22日(火)・23日(水)休館
 観覧料一般300円・高校生・市内高齢者150円・中学生以下無料(団体割引あり)
 親子でお出かけイベント「絵本とダンスのアニマルワールド」
 2月13日(土)15:00〜16:00 市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
 事前予約 0134-34-0035・受付開始2月2日(火)
 市立小樽美術館 企画展示室