学生短歌コンクール 感性光る力作


 小樽文学館(色内1・玉川薫館長)が主催する「平成27年度学生短歌コンクール」が開かれた。学生ならではの感性光る多数の作品1,262首(614人)の応募があり、昨年の781首・429人よりも1.5倍多い短歌が寄せられ、関係者を驚かせた。中学生・高校性・大学生の3つの部門に分け、入選と佳作19点が選ばれた。
 同コンクールは、石川啄木の没後100年に合わせ実施したところ好評だったため、文学館が主催して実施し、今年で4回目となる。昨年度から対象者を拡大し、大学生も加え応募を呼びかけ、今年度はさらに多くの作品の応募があった。
tankaconcours1.jpg 原始林小樽支社代表で歌人の湯本竜氏、小樽啄木会・水口忠会長、小樽詩話会・高橋明子氏の3名が審査員を務めた。その結果、中学生・高校生の部は、入選・佳作に4首ずつを、大学生の部は、入選3首を選出し、学生ならではの自由で感性が光る力作ばかりと評価。この他、審査員の心に残る選外の作品も多く、惜しまれた。
 その表彰式が、2月27日(土)11:00から同館1階研修室で開かれた。受賞者1人1人に賞状と、選ばれた短歌を表紙に載せた同館オリジナルメモ帳の記念品が授与された。
 玉川館長は、「驚くほど多くの作品が寄せられ嬉しく思う。年々、作品が良くなり、内容が自由で歌う対象も豊か。選にもれた作品も見送るには惜しく素晴らしい作品ばかり。短歌の伝統や形式、自由な感情や思いを読み込める素晴らしい日本が発明した文芸と言える。まだまだ、新しい感覚を盛り込むこともできると思う。来年も、応募してもらいたい」と述べた。
 審査員の講評で、水口氏は、「1,200首の中から20の作品が選ばれ、とてもめでたい。皆さんの短歌を読みながら、中学生や高校生の考えていることを教えてもらいありがたい。一番多い話題は、部活に関することや友人・異性への心の思いを歌った作品。祖父母や両親へ、ありがとうと素直に普段言えないことが忍ばれる短歌もあった。これからの進路の思いや、小樽の優しい町、忘れられない思いを歌った作品もあった」と述べ、水口氏が心に残る短歌を披露した。
tankaconcours2.jpg また、高橋氏は、「何日も読むのに時間がかかった。中学生に優れた作品があり、自由な発想ができ、はっとする作品が多い」と述べ、とても良いと思った作品「今日もまた 同じ1日過ごしている だけど普通が なぜか楽しい」など4点が紹介された。
 高橋氏は20歳後半に小樽詩話会に入り、これまで続けられたのは、「紙と鉛筆があればどこでも書くことができるから。皆さんもずっと続けてもらいたい。人生も豊かになると思う」と来年も沢山の応募に期待した。
 小樽潮陵高校・寺林伊織さん(1年)は、「いつかは乗りたし観覧車 いずこへ消えた 私の思いも」が佳作に選ばれた。「初めて応募し嬉しく思う。観覧車の中に1つだけハートがついたものがあり、それに乗りたかった思いを短歌に表した。来年は、姉のように入選めざして頑張りたい」と話した。
 伊織さんの大学生の2人の姉も入選。3姉妹の作品が選ばれ、母は、「歌人の作品120首を暗記し、基礎を学んだ。どの作品も、学生ならではの瑞々しい感性が感じられる」と話した。
 なお、コンクールに応募した全作品を、同館1階のミーティングルームに、近日中に掲示する予定。
 平成26年度小樽文学館学生短歌コンクール
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