文学館企画展 "正岡子規と植物の絵"


 市立小樽文学館(色内1)では、企画展「正岡子規と植物の絵」が、2月5日(金)から3月27日(日)まで開かれている。俳句と短歌の近代化に大きな功績を残した近代文学の巨匠・正岡子規を、友情と植物の二面から辿る。
shikiten1.jpg 北海道にゆかりの深い友人・井林博政と画家・中村不折との友情をエピソードを交えて紹介。子規の俳句作品には、庭に咲く植物や好物の果物が多く反映されていることから、北海道植物画協会の植物画38点と子規の俳句30点以上を展示している。
 正岡子規(1876ー1902)は、愛媛県出身で、明治時代を代表する文学者のひとりで、俳句・短歌など創作活動は多方面にわたり、近代文学に大きな影響を及ぼした。俳誌「ホトトギス」を指導し、門下に高浜虚子・斎藤茂吉・伊藤左千夫らがいる。肺結核を患い36歳の若さで生涯を終えた。
 井林は松山時代からの友人で、後に北海道に渡り、最初の水産団体「北水協会」に所属。小樽水産高校の前身・北海道庁立水産学校の創立に関わった人物で、りんごを子規に送っていた。一方、画家の中村とは深い交流があり、その存在は子規の創作に大きな影響を及ぼし、俳誌「ホトトギス」の表紙の絵も描いている。
shikiten2.jpg 子規の句には、植物に関するものが沢山あり、苦しい病気と戦いながら、庭を眺めて句を詠んだり、中村からもらった絵の具を愛用し、好物の果物の絵などを描き、「草花帖」・「果物帖」・「玩具帖」の3つの画帖を残している(明治35年)。
 いきなり写生して描く水彩画の子規の作品は、夏目漱石からは「拙(まず)くてかつ真面目である」と、高浜虚子からは「巧みな絵」と評価を受けたこと、果物が好きで毎日食べ、写生画のモーフになり、「果物帖」には、りんごや梨・パイナップル・バナナなどの絵もあることが紹介されている。
 また、会場には、桔梗を詠んだ「紫のふっとふくらむ桔梗かな」や、なの花と詠んだ「なの花の中に川あり渡し舟」などの花の絵と俳句を展示し、照らし合わせて鑑賞することができる。
 子規の愛した庭を再現し、来館者が花や植物を画用紙で作ったものを庭に展示し、「子規とわたしの庭」コーナーを設けた。
 正岡子規と植物の絵 2月5日(金)〜3月27日(日)9:30〜17:00
 市立小樽文学館(色内1) 3/21除く月曜日・2/16(水)・3/22(火)・23(水)休館
 観覧料:一般300円、高校生・市内在住70歳以上150円、中学生以下無料
 関連事業 問合せ:0134-32-2388 市立小樽文学館
 ◎句会をしてみよう 3月12日(土)14:00〜16:00
 文学館1階ミーティングルーム・参加費無料
 講師 音羽紅子
 ◎絵の具を作ってみよう 3月13日(日)14:00〜16:00
 文学館古本コーナー 材料費300円
 講師 伊藤恵里