水族館のアイドル"ツララ" 鳥羽水族館へ嫁入り!


 おたる水族館(祝津3・伊勢伸哉館長)で生まれたセイウチのツララ(メス・6歳)が、このほど、鳥羽水族館(三重県鳥羽市)に嫁入りすることとなり、3月31日(木)の出発が決定した。
 嫁ぎ先の鳥羽水族館では、ポウ(オス・10歳)とクウ(メス・10歳)が飼育され、昨年にクウの妊娠が判明したため、今後、繁殖の可能性が高いと考え、ポウとの繁殖を目的にツララを移動させることにした。
 ツララは、2009(平成21)年5月31日に、ウチオ(オス・現在25歳)とウーリャ(メス・現在23歳)の間に生まれた子ども。母親ウーリャに似て強気で堂々としている反面、臆病な面もあるが、同館・イルカスタジアムで、毎日ショーに出演し、楽しいパフォーマンスを披露。来館者の人気を集めている。覚えが早く、キスやシャボン玉を飛ばしたりするのが得意で、ショーの出演は、ツララにとっても程よい刺激となっていた。
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 同館は人気者を失うが、ツララにとっても1頭で暮らすより、より快適な環境の中で過ごすことで、水族館同士の連携を図り、国内で上手く繁殖し、数を保持するのも使命だという。
 セイウチは、北極圏の太平洋、大西洋沿岸に生息し、体重は、オスは1,500kg、メスは800kgもあり大きく、海象と呼ばれる。人間の言葉を理解し、知能が高い動物。
 絶滅の恐れのある野生動物の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の「附属書Ⅲ」に規定され、今後、新らたに国内へ輸入される見通しがほぼ見込めない種のため、国内飼育施設が連携し守ることが重要となる。
 現在、国内で飼育されているセイウチは、9施設26頭(オス7・メス19)と少ない。そのうち、出産経験のある施設は、同館と鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)の2施設。
 ウーリャは、2002(平成14)年に初産を経験し、セイタ(オス)と名付けたが、2006(平成18)年に病死した。この後、2度の死産を乗り越え、待望の赤ちゃんツララが誕生、関係者を喜ばせた。
 2月29日(月)から3月18日(金)まで休業に入り、通常営業は3月19日(土)から。ツララのショーは出発前まで続け、ショーの中で嫁入りを知らせ、イルカスタジアム入口で、ツララのメモリアルコーナーを設け、これまでの成長をパネルで振り返る。
 31日(木)に同館からトラックに積まれ出発。陸送で1日がかりで鳥羽水族館へ到着する。同館・角川雅俊獣医も同行する予定。
 角川獣医は、「セイウチの繁殖例があまりないが、これから繁殖施設を増やしていくことが目標となり、みんなで協力し、セイウチの数を維持をしたい。繁殖までの貸出しの契約(ブリーディングローン)を結び、ツララは鳥羽水族館で暮らすこととなる。ツララが抜けた穴を埋めるため、オタリアとイルカのショーの充実を図りたい」と話した。
 おたる水族館HP
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