ふたり芝居"父と暮せば"  劇団うみねこ公演


 劇団うみねこ(がくと代表)の公演会が、3月11日(金)・12日(土)・13日(日)、小樽運河プラザ(色内2)3番庫ギャラリーで、全4回の上演が始まった。
 井上ひさしによる舞台作品ふたり芝居「父と暮せば」を上演。原爆投下後の広島を舞台にした親子の愛情物語で、海外や全国各地で繰り返し上演され映画にもなった名作。
0312umineco1.jpg 父役には、前代表の吉川勝彦氏(71)。娘役には、大谷早生さん(21)と福井希さん(28)のダブルキャスト。
 吉川前代表にとっては、この劇が最後の役となり、がくと氏が代表になって初めての公演会で、新生うみねこの新しい門出ともなる記念すべき公演となり、大勢のうみねこファンや演劇好きが集まった。
 娘・美津江と父・竹造は2人暮らし。広島に投下された原爆で父は死亡。美津江は生き残った自分への罪悪感を感じ暮らしていた。そこへ幻となった父が、美津江の前へ現れた。
 2日目の12日(土)は、立ち見が出るほど大入りで100名ほどが来場した。2回目までは、大谷さんが美津江役を務めた。現実より20歳も若い父親になりきるベテランの吉川代表と初出演の大谷さんのフレッシュな役が自然と溶け合い、迫真の演技に観客は涙した。
 吉川氏は、これまでの役者人生をかけた熱い演技を繰り広げ、喜怒哀楽の感情を巧みに表現し、美津江への深い愛情を演じた。大谷さんも、原爆を体験し悲しみにうちひしがれた心情を上手く表現しながら、長い台詞を流暢な広島弁で演じきり、大きな拍手が贈られた。
0312umineco2.jpg 演劇部だった札幌在住の20歳代の女性は、「久しぶりにうみねこの公演を観た。吉川さんの演技を観たのは初めてに近い。以前は、演技を教えてもらうことが多かった。広島の原爆については知らないことが多く、もっと知るべきだと感じた。難しいふたり芝居だが、とても練習したと思う。引き込まれていった」と話し、吉川氏の最後となる公演を労った。
 うみねこファンの女性は、「劇団があると文化が育つ。若い人が育ち嬉しい」と満足していた。
 公演を終えた大谷さんは、「昨年夏にうみねこ入会し、初めて出演。方言が聞きずらいことや、経験のない戦争の実話を表現するのが難しかった。公演が終わり、悔しい部分もあるが、今後に繋げたい」と話した。
 以前吉川氏が講師を務めていた明峰高校演劇部の学生も裏方として協力。大きな活躍に拍手が贈られた。
 劇団うみねこ「父を暮せば」 3月13日(日)14:00
 小樽市観光物産プラザ(色内2)多目的ギャラリー
 当日1,800円・25歳以下1,500円 チケット取扱い:080-1876-1781 がくと
https://www.otaru-journal.com/2016/03/0306-1.php 関連記事