3Dの立体的で魅力ある作品! 舘岡すみえ個展


 病と闘いながらも製作に取り組んだ舘岡すみえさんの個展「~シャドーボックスの世界へようこそ~」が、4月11日(月)から20日(水)まで、オーセントホテル小樽(稲穂)1階ギャラリーで開かれている。3Dのように立体的で魅力ある作品に来館者は足を止めて見入っていた。
tateokasumie1.jpg 大正ガラス館・カトリック小樽教会富岡聖堂・赤レンガ庁舎・ヨーロッパの街並みなど、大小合わせて17点を展示。このうち、旧多喜二亭と他1点は未完成のままとなっている。
 この作品の特徴は、同じ絵の写真やカードを何枚も立体的に張り合わせるなどして、絵に奥行や陰影を持たせる。木の枝や砂など作品に応じた素材を使用し、台紙の色を合わせて額装して完成させる。作品づくりに決まりがないため、作家独自のアイディアを盛り込み、仕上がりに個性や工夫が光る。
 札幌在住の舘岡さんは、ファッション関係の学校で学んだ後、グラフィックデザイン・七宝・彫銀・陶芸・デコパージュなどの美術工芸を学んだ。25年前にシャドーボックスの作品に出会い、作風に魅せられ、これまでの経験を活かし熱心に作品づくりに取り組んだ。
tateokasumie2.jpg 独自のアイディアを作品に盛り込み、2010年に利尻屋みのや・不老館(堺町1)で個展を開催。2011(平成23)年に白血病を発症。病気と闘いながらも作品を作り続け、同年に、入院中でありながらも札幌大同ギャラリーで個展を開いた。
 2013(平成25)年にも、ワークショップを取り入れた個展を同じ場所で開き、個展は4回目となる。これまで作り続けた作品は約90点にも及び、精力的に作品づくりに打ち込んだ。
 全国クラフト展(2013年)で入選。芸術の森主催のクリスマスアート展(2014年)にも出品する実力ある作家。
 2015(平成27)年2月と12月に再発し入院。現在も入院中で、妹の高島幸枝さん(小樽在住)は、姉が命をかけて懸命に取り組んだ素晴らしい作品を、多くの人に観てもらおうと、最後の個展の開催にこぎつけた。

 展示中の作品「手宮界隈」は、昭和30年代の写真から、母への思いを込めて作ったもの。郵便ポストの横にいるのが母親だという。
 高島さんは、「この作品を通じて、同じ病気の人たちを励ましたい思いと、姉への思いを込めて開催。多くの方に観ていただきたい」と話した。
 関連記事