蜃気楼を画像で紹介! 博物館回廊で写真展


 小樽市総合博物館(手宮1・石川直章館長)は、GW真只中の5月1日(日)、大勢の家族連れで賑わう中、石狩湾で観測される上位蜃気楼「高島おばけ」のシーズンを迎え、研究者や愛好家達は、蜃気楼の出現を待っている。
0501mirage1.jpg 蜃気楼シーズンであること、今回の「蜃気楼のすべて」の出版に関連して、「蜃気楼写真展」を5月1日(日)から同館2階回廊で始めた。
 高島おばけをはじめとする、南極・琵琶湖(滋賀県)・魚津(富山県)・猪苗代湖(福島県)・大阪湾・苫小牧・斜里の各地の蜃気楼の写真19枚(A3ノビ)を展示している。
 蜃気楼とは、光が温度の異なる空気の層を通過することで屈折し、遠くの景色が伸びたり縮んだりバーコード状に見えたり、時には反転したりして見える現象で、全国各地で確認され、話題となっている。
 小樽でも、同館・大鐘卓哉学芸員を中心に蜃気楼ウオッチャーが集まるネットワークを結成し、観測状況をメールで配信している。
0501mirage3.jpg この度、日本蜃気楼協議会の会員がこれまでの研究に基づき、蜃気楼の撮影に成功した画像や蜃気楼のメカニズム、歴史や美術品まで、すべてを網羅した世界初のガイドブック「蜃気楼のすべて」が出版(草思社)された。
 その本にも掲載されている蜃気楼への興味をそそる、珍しい画像を同展で紹介し、大鐘学芸員コレクションの大蛤が吐き出す楼閣が描かれた「色絵蜃気楼図大皿」(時代不明)と、江戸時代後期と思われる絵皿の2点も展示されている。
 大鐘学芸員が遭遇した観測史上最大規模の2008年6月、小樽・高島海岸から見た石狩湾新港の緑色の球形のガスタンクが伸びたり反転した時の、ワイングラスや徳利にも見える形に変化した画像や、厳冬のオホーツク海で、斜里から見える網走の夜景が伸びて見えた夜の蜃気楼は大変珍しい。
 全国的に蜃気楼で有名な魚津の町並みがパステル調に見えた蜃気楼や、琵琶湖でのZ型に見える琵琶湖大橋、南極の氷山が反転して浮かんで見えたりと、不思議な画像が紹介されている。
0501mirage2.jpg 他にも、変形した太陽も蜃気楼の一種で、ダルマの形や汁椀、四角い太陽の画像が並び、小樽や斜里で確認されている。
 大鐘学芸員は、「全国限られた地域で観測された珍しい蜃気楼が、小樽でも見られることがあり、北海道では斜里・苫小牧と3ヶ所からの蜃気楼が観測されていることを知ってもらい、日本全国の多様な蜃気楼をこの機会に見てもらいたい」と呼びかけた。
 春の風物詩と言われる「高島おばけ」が出現する可能性がある4月から7月末まで、札幌在住の気象予報士・金子和真さんが、自身開設のHPで、蜃気楼出現の期待度を、気温や水温・風向き・天候・発生事例などから予測した蜃気楼期待度を掲載している。
 北海道蜃気楼予報
 その期待度が20%を越えると、情報ネットワークに配信され、登録者は、メールで受信する仕組みになっている。
 同ネットワーク管理者の北海道・東北蜃気楼研究会会長でもある大鐘学芸員や同研究会会員らによる観測報告をリアルタイムに受信することができ、これによって初観測を果たした会員の事例も報告されている
 石狩湾蜃気楼情報ネットワーク
 蜃気楼愛好家達は、気温や風、天候などに気を配り、今シーズンの蜃気楼に期待を寄せている。
 蜃気楼写真展 5月1日(日)〜7月18日(月・祝)9:30〜17:00
 小樽市総合博物館(手宮1)2階回廊 火曜(祝日の場合は翌日)休館
 入館料:一般400円、市内高校生・70歳以上200円、中学生以下無料
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