祈りの火絶やさず! 龍照寺"火渡り"


 北海道36不動尊霊場の真言宗・寶珠山龍照寺(オタモイ3・地山敬胤住職)で、6月5日(日)10:00から、三重・奈良・宮崎県など道内外の僧侶10名による「火渡り修行」を実施した。
 当寺院での火渡りは、昨年に続き2回目。今回は、新道岬観音霊場開山50周年記念法要として開かれ、檀家をはじめ一般市民ら150名以上が集まり、賑やかに開かれた。
hiwatari1.jpg 火渡りは、約1,300余年前に奈良県を中心に修行していた役行者(えんのぎょうじゃ)が、山岳信仰の中で祈りの火に祈願し、国家安泰や所願成就を祈念し、今日まで受け継がれている。小樽でも赤岩から新道岬に至るまで、龍神さま、白龍大権現が住む霊地と呼ばれ、かつて鰊で栄えた町の海上安全・大漁祈願・五穀豊穣・市民の安全等を祈ってきた。
 龍神さまは、仏教では不動明王の化身で、同寺院は龍を照らす寺。春・秋に新道岬までの33観音を祀り、伝統ある作法に則り法要を勤めている。
hiwatari2.jpg 地山住職は、「本尊さんのご縁に手を合わせ、平成28年度祈りの種を蒔き、ひとりひとり花を咲かせる時期は違うかもしれないが、綺麗な花を咲かせ、綺麗な心で毎日を過ごしてもらいたい。煩悩を焼き尽くす火渡りで何かを感じ、感じたものを生活に中に充てていただきたい」と挨拶した。
 9:00から町内をほら貝・太鼓で練行し、10:00から境内で火渡りが執り行われた。住職をはじめ僧侶らは、修験道独特の鈴懸姿となり、ほら貝の音が鳴り響いた。
hiwatari3.jpg 会場の中央に割木を積み上げ、参拝者がぐるりと囲む中、弓・斧・刀の奉納儀式の後、住職他2名が、煮えたぎる湯を笹の葉でかぶった。その後、いよいよ点火されると、炎は勢い良く高く上がり、音を立てて燃えた。
 渡る床(とこ)を整え、まだ火が残る中、一番に住職が素足で渡り、その後を他の僧侶が続き、火渡りが始まった。火が伏せ祈願後に、役員・世話人・檀家・一般市民も素足になり祈りを込めて渡った。
 火渡りに参加した市内在住の阿部優奈さん(小5)は、「温かかった。来年も来ます」と話し、母親は「家族の健康などを願った」と話した。
 その後、12:00から小樽太鼓衆「鼓響」による奉納太鼓が行われ、参拝者を楽しませた。