ズサンな市の許認可!漁業権侵害を放置する森井市長


 小樽市議会第3回定例会の予算特別委員会3日目が、9月26日(月)13:00から開催された。
 午前中に経済常任委員会を中心とする市議13名が、観光船の係留を巡り、高島漁港を視察しており、予算特別委員会では、関連の質問が相次いだ。関連記事
 この問題では、小樽市(森井秀明市長)が、高島漁港区で観光遊覧船の護岸係留の許可や乗降用の浮桟橋の設置許可、そして漁港に観光施設の建築を許可したことが、条例の拡大解釈や違法状態が生まれているとの指摘がされている。
 許可を受けたのは、今年4月19日に設立された株式会社ラファで、高島漁港区に「小樽ファンクルージング」を展開し、観光船事業を行っている。
 この事業者は、森井市長の後援会関係者で、今年5月12日に、高島漁港区で観光船事業を始めるため、建物の建築や護岸係留の許可申請を市に提出していた。市は、5月16日にこの業者が、既に無許可で護岸に係留しており、しかも護岸の車止めに勝手に穴を開けて取り付けたUフックに船を留めていることを確認していたにも関わらず、6月1日、違法状態が改善されないまま、護岸の観光船係留を許可した。議会では不適切で違法だと指摘されていた。
0926council.jpg 高島漁港は条例上の「漁港区」で、漁業や水産物の水揚げ加工などを行う区域であるにも関わらず、市は、漁業者も建物を利用できるということを理由に観光施設の建築を許可した。加えて、この施設は、建築基準法の完了検査が一部完了していないにも関わらず、検査前に使用されたのではないかとの疑いが議会で指摘された。
 市が、これらの許可を出す際には、漁業者の同意や漁業者と事業者との間の協定などを必要要件としていないが、漁業者からは、漁業権が侵害されることや事故などについて不安の声が上がっていた。26日午前中の議員視察では、両者の間で話し合いがほとんど進んでいないことが判明。
 民進党林下孤芳議員は、「行政の許認可の判断や、違法状態を放置してきたことは、行政執行に誤りがあったことは明らか。また、漁業者との合意を前提としながら、漁業者にも多大な損害を与えていることに対して、行政の責任は免れられない。これまで行政の代表者として市長に責任を求めてきた。責任を明らかにしなければ解決の糸口も見出すことができない」と問い質した。市側は、「法に基づいて許可した。行政執行に誤りがあったと考えていない」と、これまでと変わらない回答を繰り返した。
 自民党中村吉宏議員は、「観光船事業者が、市の公有物である車止めに穴を開けている状態は、刑法261条の器物損壊罪に該当する事実であり、これを市が放置している」と質すと、市側は「好ましい状態ではない」と回答した。また、「市が告訴をすべきでは?」との質問に、市側は、「告訴を含めて段階的に手続きを踏んでいきたい」と答えた。
 公明党秋元智憲議員は、「森井市長が漁業者といつ会うのか?」と質したのに対し、森井市長は「議会が終わった後」と答えた。これに対し秋元議員は「漁業者は漁業権がある場所をいきなり占領されている、船を退けてと言っても退けない。そんな状況で議会が終わってから話を聞きますと言えるのか?市長の方から会いに行けば良いではないか?市長は特に漁師の方を見ていない。業者の方しか見ていない」とその姿勢を強く非難した。
 また、秋元議員は、国の港湾事務所が、「今の小樽市の状況は誰が見ても不適切だ」と話していたことを指摘した。
 新風小樽安斎哲也議員は、市の港湾計画について、「高島漁港は水産ゾーンになっているが、今回の観光船事業の施設が、水産ゾーンに適切に対応しているかどうか」の質問に対し、市側は「適応している施設とは言えない」と答えた。
 これまで森井市長は、「漁業者の不安や懸念については、議員の心配は無用だ」と言ったが、この問題は、市の許認可や漁港での違法状態の放置を巡って、さらに尾を引きそうだ。
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