末永正子展 小樽・美術家の現在シリーズ


 小樽ゆかりの作家を紹介する小樽・美術家の現在シリーズ「末永正子展 ある日の風景から」が、3月4日(土)から4月23日(日)まで、市立小樽美術館(色内2)2階企画展示室で開かれ、1998年から2017年の新作まで48点を展示している。
suenaga2.jpg 小樽出身で在住の末永氏は、友人の勧めで高校時代にデッサンを習ったことがきっかけで絵の道に進み、札幌大谷短期大学油彩専功科に学ぶ。1971年に道展に初入選し、その後、毎年出展を続けた。1998年に「二人の風景」で道展協会賞を受賞し、翌年道展会友となる。小樽や札幌で絵画展を開き、精力的に活動を続けている。現在、北海道美術協会会員・小樽美術協会会員。
 会場には、20年前の作品から今年2月に完成したばかりの新作までがずらりと展示され、末永氏の作風の変化を感じ取ることができる。
 道展協会賞受賞の人物が描かれた「二人の風景」に始まり、2000年初期の頃の「女」シリーズでは、人物の形態を無彩色で描いた作品や、女性の形が見え隠れしながら色彩で構成した作品、卓上風景では、花をモチーフにしながらも色を抑えた作品、その後、赤を強調し楽器や赤をイメージするスイカを組み合わせた。「WOMAN」では、うっすらと1人の女性が浮かび上がる。
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 目に見えない空や風を形にして表現したり、色彩も鮮やかな色や線が目立ち始める。近年は「景」をモチーフにした作品が多く、自宅から見える屋根や電線、海など、小樽の風景が作品に現れている。
 見る具象が、末永氏を通じて心象になり、画面で抽象に表現される。色面と線で構成し自分の世界が生まれるという。
 今回の企画展に合わせ、新作を発表。そのひとつ「白と黒の景」は、白は雪を表現し、黒は運河や夜をイメージし、白と黒の世界を繋ぎ合わせた。
suenaga3.jpg 同じく新作の200号もの大作「華と水の景」は、末永氏の作品の中であまり見かけない、明るくて綺麗なブルーがインパクトを与えた。見る人にとって心地良い色彩を使うよう心がけたという。華は、長い冬が過ぎ待ちわびた春の桜をイメージした。
 末永氏は、「小樽ならではの美術館に、市民にもっと足を運んでもらいたい。様々な企画展を開催し、小樽でも美術を鑑賞できる会場があることを、市民にもっと認識してもらえるきっかけとなればと思う」と話した。
 なお、3月18日(土)14:00〜15:00に展示会場で、末永氏が語るアーティストトークを予定している。
 企画展小樽・美術家の現在シリーズ「末永正子展 ある日の風景から」
 3月4日(土)~4月23日(日)9:30~17:00 市立小樽美術館(色内2)2階企画展示室
 入館料一般300円、高校生・市内70歳以上150円、中学生以下無料。