ニトリ小樽芸術村(色内1)が主催する旧三井銀行小樽支店研究会の第3回目が、3月12日(日)13:00から旧三井銀行小樽支店(色内1)で開催された。
同研究会は、旧三井銀行を基軸に、小樽の経済・金融・人々の暮らしなどを多角的な視点から探る、全10回の連続講座。12日は「北のウォール街の経済」と題して、小樽商科大学の江頭進副学長が講演を行った。
今回の講演は、明治24年から大正3年頃までの小樽経済の様子を中心とする内容。一般に旧三井銀行や旧拓殖銀行、旧三菱銀行などが並ぶ、色内大通り周辺だと思われている北のウォール街は、かつて小樽米穀取引所のあった現産業会館から日銀を結ぶ、現在の浅草通り線や商業会議所(現商工会議所)のあった、現在の水道局から花園銀座街までを貫く嵐山通り周辺までも含む広い範囲だったのではないかと話した。
また、ロンドンの穀物相場に影響を与えたと言われる高橋直治については、これまで第一次世界大戦により穀物が不足したヨーロッパで、小豆の投機的な取引を行った結果、巨万の富を手に入れ「小豆将軍」と呼ばれるようになったと説明されていたが、高橋直治は、同大戦が始まる前に、既に「小豆将軍」と呼ばれており、さらにロンドンには小豆市場もないことから、「小豆将軍」というのは、高橋直治自身が衆議院議員選挙に出馬した時のキャッチフレーズとしたものではないかとの考えを話した。
◎高橋直治
このほか、藤山要吉や板谷宮吉など小樽商人の活躍を挙げながら、「明治以降、小樽に集まってきた有象無象の人々の経済活動が、北のウォール街を形成したと考えた方が良い」と話すなど、新鮮な切り口の講演に、会場で聞いていた歴史ガイド活動をしている男性は、「今後のガイドの説明に取り入れていきたい」と、感想を述べていた。
講演を聞いた会社経営の市内男性は、「ステンドグラス美術館を観に行った時に友の会に入会し、今回案内をもらったので参加してみたが、大変ためになった」と話し、早速、次回参加を申込んでいた。
講演終了後は、館内を自由に見学する時間も設けられ、参加者は地下貸金庫や2階会議室などを見学した。
次回、第4回「小樽の銀行建築」は4月9日(日)13:00から開催。旧三井銀行を中心に、他銀行との関係性を探り、小樽に銀行が最も多かった大正末の地図を片手に、今は無くなった銀行などをイメージしながらまち歩きを行う。参加費は一般1,500円(小樽市民1,000円)・高校生以上700円で、ステンドグラス美術館とアール・ヌーヴォーグラス館の入館チケットが付く。現在、参加者を募集している。申込はFAX(0134-31-1035)、またはメールで。
また、小樽芸術村友の会の申込も随時受け付けている。同会に入会すると、芸術村全施設の利用やミュージアムショップオリジナル商品の割引、各種開催イベントの案内や優待などが受けられる。入会金・年会費無料。
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